もちろんこの恋心が叶うなんて最初から思ってない。
私に彼氏なんて夢のまた夢。
いつ眠ってしまうのかわからない睡眠障害を抱えている私なんて迷惑と負担をかけてしまう。
そして、めんどくさがられて、嫌がられて、ポーンと空き缶のように簡単に捨てられてしまうんだ。
一生デートなんて私には無縁だろう。
でも、お兄ちゃんがいろいろ連れていってくれるからいいか。
でもでも、お兄ちゃんだって、いつか結婚しちゃったら……。
私は睡眠障害のせいで付き纏う孤独と不安と常に戦っていた。
誰にも必要とされてない。
きっと重荷にしかならない自分。
普通でいいのに、普通にもなれない私。
体育の授業を休んでることや、たまに出てしまう睡眠障害での授業中の居眠りで、私は高校でも同じクラスの女の子たちから嫌がらせを受けるようになっていた。
『紅月さんばっかずるくない?』
『何で先生に怒られないの?』
『コネヅキ』
睡眠障害によって私が居眠りをしてしまったりする姿は、特進コースで一点でも多く、一つでも上の順位をとりたいと躍起になっているクラスメイトの目に余ったらしい。
登校したら私の机と椅子が廊下に出されていたり、教科書や上履きがなくなったり、お母さんが作ったお弁当をゴミ箱に捨てられたりした。
やめてほしいと言い返すことは出来ないし、誰にも言えなかった。
言い訳できる理由がない。
睡眠障害がばれて奇異な目を向けられるよりは遥かに良い。
肉体的ないじめじゃないだけマシだと思おう。
だけどみんなに嫌われてる自分のことを私が一番嫌いだった。
学校内で椎名先輩を視界に入れることだけが私の気力を繋いでくれた。
椎名先輩が居なかったら、とっくに私は不登校になっていたかもしれない。
だからクラスメイトの子の手によって窓から外へと落とされた教科書とノートを拾いに行った時。
そこに椎名先輩が立っていることを、白昼夢かなってくらいに、すぐに認識できなかった。
『これ、オマエの? っとアカツキリナ?』
椎名先輩は確かに居た。
砂を払って私に教科書とノートを差し出しながら。
どうしよう?
どうしよう?
脳内がパニックを起こして、全身が言うことを聞いてくれない。
椎名先輩に私が話しかけられてるなんて信じられなくて、恥ずかしくて緊張して倒れそうで椎名先輩の顔は見られなかった。
椎名先輩と美術室で会うようになって、どんどん椎名先輩を好きになっていく気持ちを止められなかった。
昼はメロンパン一つの超偏食で、コーヒー牛乳を苦いと言う変わった一面もあった。
椎名先輩はいつも私に迷惑じゃないと言ってくれる。
私には自分を優先しろって言うのに、自分は私を優先する優しい人。
人気者でみんなから憧れられているのに、何も気にかけないで嫌われ者の私と一緒に居てくれる。
みんなは同調と協調を優先して、ださいと思われるのを嫌がったり、見た目にこだわったりするのに、椎名先輩にはそんな小さな見栄が一切ない。
赤信号の横断歩道で止まった時からそう。
椎名先輩は自然体で、いつもどこか緩いんだ。
それは、きっと椎名先輩が無気力なんじゃなくて、人に何を思われてもいいと腹を括った強さのように思えた。
私に彼氏なんて夢のまた夢。
いつ眠ってしまうのかわからない睡眠障害を抱えている私なんて迷惑と負担をかけてしまう。
そして、めんどくさがられて、嫌がられて、ポーンと空き缶のように簡単に捨てられてしまうんだ。
一生デートなんて私には無縁だろう。
でも、お兄ちゃんがいろいろ連れていってくれるからいいか。
でもでも、お兄ちゃんだって、いつか結婚しちゃったら……。
私は睡眠障害のせいで付き纏う孤独と不安と常に戦っていた。
誰にも必要とされてない。
きっと重荷にしかならない自分。
普通でいいのに、普通にもなれない私。
体育の授業を休んでることや、たまに出てしまう睡眠障害での授業中の居眠りで、私は高校でも同じクラスの女の子たちから嫌がらせを受けるようになっていた。
『紅月さんばっかずるくない?』
『何で先生に怒られないの?』
『コネヅキ』
睡眠障害によって私が居眠りをしてしまったりする姿は、特進コースで一点でも多く、一つでも上の順位をとりたいと躍起になっているクラスメイトの目に余ったらしい。
登校したら私の机と椅子が廊下に出されていたり、教科書や上履きがなくなったり、お母さんが作ったお弁当をゴミ箱に捨てられたりした。
やめてほしいと言い返すことは出来ないし、誰にも言えなかった。
言い訳できる理由がない。
睡眠障害がばれて奇異な目を向けられるよりは遥かに良い。
肉体的ないじめじゃないだけマシだと思おう。
だけどみんなに嫌われてる自分のことを私が一番嫌いだった。
学校内で椎名先輩を視界に入れることだけが私の気力を繋いでくれた。
椎名先輩が居なかったら、とっくに私は不登校になっていたかもしれない。
だからクラスメイトの子の手によって窓から外へと落とされた教科書とノートを拾いに行った時。
そこに椎名先輩が立っていることを、白昼夢かなってくらいに、すぐに認識できなかった。
『これ、オマエの? っとアカツキリナ?』
椎名先輩は確かに居た。
砂を払って私に教科書とノートを差し出しながら。
どうしよう?
どうしよう?
脳内がパニックを起こして、全身が言うことを聞いてくれない。
椎名先輩に私が話しかけられてるなんて信じられなくて、恥ずかしくて緊張して倒れそうで椎名先輩の顔は見られなかった。
椎名先輩と美術室で会うようになって、どんどん椎名先輩を好きになっていく気持ちを止められなかった。
昼はメロンパン一つの超偏食で、コーヒー牛乳を苦いと言う変わった一面もあった。
椎名先輩はいつも私に迷惑じゃないと言ってくれる。
私には自分を優先しろって言うのに、自分は私を優先する優しい人。
人気者でみんなから憧れられているのに、何も気にかけないで嫌われ者の私と一緒に居てくれる。
みんなは同調と協調を優先して、ださいと思われるのを嫌がったり、見た目にこだわったりするのに、椎名先輩にはそんな小さな見栄が一切ない。
赤信号の横断歩道で止まった時からそう。
椎名先輩は自然体で、いつもどこか緩いんだ。
それは、きっと椎名先輩が無気力なんじゃなくて、人に何を思われてもいいと腹を括った強さのように思えた。


