その瞬間、君は世界に対して無防備になる。



 ──呪いで永遠の眠りに落ちた姫を、勇敢で素敵な王子様が茨の路を掻い潜ってお城まで迎えに行く──

 そんなお伽噺に気持ちを馳せるほど、私は子どものままでも世間知らずでもいられなかった。
 私には助けに来てくれる王子様など居るはずもなく、そのまま永遠に眠り続けるだけ。
 ずっと、ずっと一人きりで……。

 例え王子様のキスで目を覚ましたとしても、残酷な現実なら見たくない。
 見たくない現実なら、夢と幻の狭間で私は眠り続けたい。

 お願い……
 助けにこないで、王子様。
 王子様は私に構わないで、自分の幸せだけを追い続けて。
 私をこのまま眠らせて。