※ ※ ※
次の週、休講掲示板の前に茅野はいなかった。秀幸は大学の夜間部の授業が始まるまでそこで待ち続けたが、とうとう現れなかった。
その次の日は、部活の練習の時間になるまで掲示板の前に立っていたが、やはり会うことはできなかった。
休講や追試の情報は学生なら定期的に確認するはずなので、待ってさえいればいつかは会えると思うのだが、会えないところをみると、茅野が秀幸を避けているのだろう。
水曜日からは、講義と講義の間の短い休憩時間にも探し歩くようになった。
そして、告白の日から十日目に秀幸はやっと彼をみつけた。
休講掲示板の前だった。教室移動のためだろう。いつものふくれたリュックになぜか紙袋を二つさげて、重そうな足取りで歩いてきた。
別棟からやってきてガラスのドアの前に立ったものの、両手がふさがっていてドアを開けられずにもたもたしている。
「茅野!」
秀幸は廊下に響くような声をあげて走りだしていた。
瞬間、茅野は顔をひきつらせた。現場を見とがめられた犯罪者のような怯えた表情だった。
がしゃん、と音がした。茅野が驚きのあまり紙袋を取り落としたのだ。渡り廊下の床に荷物が散らばった。旅行用の歯ブラシセット、シャンプーとリンスのミニボトル。買ったばかりのカミソリ。整髪料のスプレー缶……洗面用具のようだ。
次の週、休講掲示板の前に茅野はいなかった。秀幸は大学の夜間部の授業が始まるまでそこで待ち続けたが、とうとう現れなかった。
その次の日は、部活の練習の時間になるまで掲示板の前に立っていたが、やはり会うことはできなかった。
休講や追試の情報は学生なら定期的に確認するはずなので、待ってさえいればいつかは会えると思うのだが、会えないところをみると、茅野が秀幸を避けているのだろう。
水曜日からは、講義と講義の間の短い休憩時間にも探し歩くようになった。
そして、告白の日から十日目に秀幸はやっと彼をみつけた。
休講掲示板の前だった。教室移動のためだろう。いつものふくれたリュックになぜか紙袋を二つさげて、重そうな足取りで歩いてきた。
別棟からやってきてガラスのドアの前に立ったものの、両手がふさがっていてドアを開けられずにもたもたしている。
「茅野!」
秀幸は廊下に響くような声をあげて走りだしていた。
瞬間、茅野は顔をひきつらせた。現場を見とがめられた犯罪者のような怯えた表情だった。
がしゃん、と音がした。茅野が驚きのあまり紙袋を取り落としたのだ。渡り廊下の床に荷物が散らばった。旅行用の歯ブラシセット、シャンプーとリンスのミニボトル。買ったばかりのカミソリ。整髪料のスプレー缶……洗面用具のようだ。

