ここで選手の私生活に密着して関わっているのは、彼なりの後方支援だったのだ。そしてそれは時に自分が無力であることを痛感することだったのかもしれない。

「小野寺、実際のところ『全力でやりきって真っ白な灰になって燃えつきる』なんてカッコイイ終わり方ができるのは漫画の中だけなんだぜ。みんな後悔と未練にまみれて、それでもみっともなくあがきながらベンチからBチーム、Cチームにさげられていくんだ。あるいは、俺や長谷川みたいに裏方へまわる。お前は違うだろ。まだやれる可能性あんだろ」

 いつもふざけた態度の曽我らしくなく、熱っぽく語る。

「うちの有望な選手であるお前を前向きにさせるためなら、俺はなんでも利用させてもらう。茅野くん、お前のプレーに勇気づけられたって話してたぜ。……今度はお前が支えてもらえばいいじゃねえか」

 秀幸は机の下で拳を握りしめてうつむいた。