秀幸は言葉を失った。野球部の南条が気にしていたのはこれだったのか。自分がいない間に茅野が寮にあらわれて所在なくうろうろすることを心配していたのだろうか。
「お前らさあ、原始人なの?」
曽我が煽るような大声をあげた。
「携帯持ってんだろ。なんで連絡しないの? それともバカなの? 『今日会える?』ってメールしたらどうかなっちゃうと思ってるわけ? なんなんだよ、この茶番は。間にはさまってる寮生たちの身にもなれっての!」
ということは、南条も他の寮生たちも、それを知っていて茅野の頼みどおり秀幸には内緒にしてきたのだ。
(ほんとにまあ、あんたたちも、そろいもそろって相当のお人好しですね)
秀幸は感心を通り越して、あきれかえった。
「もうつまんねえ意地の張り合いとか、見苦しいんだよ。とっととデキろ。そりゃ今の社会じゃいろいろあんだろうけど。こっちももどかしくってやってられねんだよ」
「茅野のことで俺が思ってたより周囲に気い使わせてたのは謝ります。でも、茅野をここで寝かせることは許可してください。じゃないとあいつ……」
「お前はさ、どうしたいの?」
「俺は……このままがいいんです」
「相手は必死なのに、卑怯だな」
「あんたは、あいつの何を知ってんすか」
秀幸は変に息苦しくなって、曽我をにらんだ。
「お前らさあ、原始人なの?」
曽我が煽るような大声をあげた。
「携帯持ってんだろ。なんで連絡しないの? それともバカなの? 『今日会える?』ってメールしたらどうかなっちゃうと思ってるわけ? なんなんだよ、この茶番は。間にはさまってる寮生たちの身にもなれっての!」
ということは、南条も他の寮生たちも、それを知っていて茅野の頼みどおり秀幸には内緒にしてきたのだ。
(ほんとにまあ、あんたたちも、そろいもそろって相当のお人好しですね)
秀幸は感心を通り越して、あきれかえった。
「もうつまんねえ意地の張り合いとか、見苦しいんだよ。とっととデキろ。そりゃ今の社会じゃいろいろあんだろうけど。こっちももどかしくってやってられねんだよ」
「茅野のことで俺が思ってたより周囲に気い使わせてたのは謝ります。でも、茅野をここで寝かせることは許可してください。じゃないとあいつ……」
「お前はさ、どうしたいの?」
「俺は……このままがいいんです」
「相手は必死なのに、卑怯だな」
「あんたは、あいつの何を知ってんすか」
秀幸は変に息苦しくなって、曽我をにらんだ。

