秀幸はごくり、と唾をのみこんだ。茅野が寮生にそんな目で見られているなんて今まで考えたこともなかった。さっきまでオレンジ色の夕陽にくるまれたような気分でいたのに、一気に冷水を浴びせかけられたような気持ちになった。
「冗談っすよね」
力なく笑う秀幸に、南条は重たい口調で返す。
「冗談で済めばいいんだがな」
「南条さん、俺らは別に……」
「小野寺、俺は頼んでるんだ。間違いが起きる前に白黒つけてくんねえかな」
「しろくろ?」
「お前の『女』だってはっきりすれば、誰も変な気おこさねえよ。人数の多いビー部を敵にはまわせねえだろうし、それくらいの仁義はみんな心得てる」
「すんません。何言われてんのかさっぱりわかんないっす。茅野は高校時代からのダチで……」
南条は再びさえぎった。
「小野寺、お前、俺たちを信用してないんじゃないのか?」
まっすぐ問いかけられ、秀幸は思わず言葉をのんだ。常に下級生を威圧している強い視線に、今日は同情が混じっている。
秀幸は反抗的な目で南条を見上げた。
信用していたら、抵抗なくカムアウトするとでも思っているのだろうか。
男を愛してます、なんて。
「冗談っすよね」
力なく笑う秀幸に、南条は重たい口調で返す。
「冗談で済めばいいんだがな」
「南条さん、俺らは別に……」
「小野寺、俺は頼んでるんだ。間違いが起きる前に白黒つけてくんねえかな」
「しろくろ?」
「お前の『女』だってはっきりすれば、誰も変な気おこさねえよ。人数の多いビー部を敵にはまわせねえだろうし、それくらいの仁義はみんな心得てる」
「すんません。何言われてんのかさっぱりわかんないっす。茅野は高校時代からのダチで……」
南条は再びさえぎった。
「小野寺、お前、俺たちを信用してないんじゃないのか?」
まっすぐ問いかけられ、秀幸は思わず言葉をのんだ。常に下級生を威圧している強い視線に、今日は同情が混じっている。
秀幸は反抗的な目で南条を見上げた。
信用していたら、抵抗なくカムアウトするとでも思っているのだろうか。
男を愛してます、なんて。

