君の膝の骨になりたい

「あれすごかったね。喜多美高校戦の時、後半はじまってすぐのピンチの時。一撃必殺で相手の足を取りに行ったサバ折りタックル。突進してきてた相手のナンバーエイトすごい巨漢だし、どうなっちゃうのかドキドキした。でも小野寺は、自分より大きい相手に全然スピード落とさずにまっすぐ向かっていくんだ。なんかもう、悲壮っていうくらいカッコよかった」

 茅野の白磁のようだった頬に血の気が上って、薔薇色に染まる。

「あと、あれ。大島工高戦の時、残り時間三分からの逆転トライ。何度もぶつかって、密集作って、またボール出して、パスまわして。チームのみんな必死だったね。途中からポジションとかもう全然関係なくなって、ただひたすら人数がわき出てくるようだった。ぶつかって、倒れて、起きあがって、また走って。何度でも、何度でも。道が開けるまで当たり続けた」

 茅野は両手を胸の前でにぎりしめて語る。

「僕は、小野寺が何度倒されてもあきらめずに起きあがってまた走りだすの見ると、嬉しくて泣きそうだった。ラグビーのパスはみんな自分より後ろに投げるけど、みんな小野寺に投げる時は一度もふりかえらない。絶対とってくれるって信頼して放るんだ。それを見るといつもすごく感動した。だから、これからも、小野寺を見ていたい」

 茅野はブレザーのポケットに手をつっこみ、赤い実をとりだした。直径一センチにも満たない、真紅色の丸い玉だった。

「これ何か知ってる?」

 秀幸は首を振った。