「兄さん、ごめんね。僕は兄さんが僕に厳しくした理由をわかってるつもりだ。だから兄さんを恨んでない。でも兄さんにも、人のせいにしない本当の人生を生きてほしいんだ」
「恋愛は人を成長させるねえ」
訳知り顔で語り出したのは、あとからやってきた曽我だ。
「お兄さんも弟離れして、自分のやりたいことに専念すればいいんじゃねえの? 裁判じゃないんだから、勝てる相手にだけ挑む人生じゃなくってさ、かっこ悪くなれるほど夢中になれるなにかをみつければいいんじゃないの? ここの連中は間違いなくみんなそれを持ってるわけ」
さらに後押しする人数は増えていた。ラグビー部の面々。それだけではない野球部の南条もいる。
兄の肩がわなわなと震えだした。顔が怒りで真っ赤になっている。
「もういい。勝手にしろ」
捨て台詞のように叫ぶと、くるりと向きを変えた。
「あ、お帰り、お帰りですかあ。じゃ、玄関までご案内しまーす」
津和野がそそくさと先に立って歩き出す。一度ふりかえって、秀幸と茅野に、にやっと笑って見せた。
兄が階下に消えると、秀幸と茅野は踊り場を見上げた。駆けあがる。
仲間たちにもみくちゃにされながら、ふたりは祝福を受けた。
「恋愛は人を成長させるねえ」
訳知り顔で語り出したのは、あとからやってきた曽我だ。
「お兄さんも弟離れして、自分のやりたいことに専念すればいいんじゃねえの? 裁判じゃないんだから、勝てる相手にだけ挑む人生じゃなくってさ、かっこ悪くなれるほど夢中になれるなにかをみつければいいんじゃないの? ここの連中は間違いなくみんなそれを持ってるわけ」
さらに後押しする人数は増えていた。ラグビー部の面々。それだけではない野球部の南条もいる。
兄の肩がわなわなと震えだした。顔が怒りで真っ赤になっている。
「もういい。勝手にしろ」
捨て台詞のように叫ぶと、くるりと向きを変えた。
「あ、お帰り、お帰りですかあ。じゃ、玄関までご案内しまーす」
津和野がそそくさと先に立って歩き出す。一度ふりかえって、秀幸と茅野に、にやっと笑って見せた。
兄が階下に消えると、秀幸と茅野は踊り場を見上げた。駆けあがる。
仲間たちにもみくちゃにされながら、ふたりは祝福を受けた。

