「あ~疲れた」
家に帰ってきてから、私はため息をついて、ソファに寝転がった。
私は「全部」言っていない。
それどころか、「本当のこと」は一つも言っていないと思う。
私は、嘘をついた。
姫は何も悪くないから。
「私の問題です。それで、気持ちが不安定で。」
それしか言わなかった。
それだけで、先生は分かってしまったんだろう。
私に「重大な秘密」があることを。
秘密その① 姉がいる。
秘密その➁ 姉がアイドル。
秘密その➂ 子供二人で住んでいる。
そして、私には、もう一つ秘密がある。
それは、「元彼が、国民的アイドルの蓮」ということだ。
久しぶりに蓮に会いたくなった。
だけど、会えない。だって、蓮はもう、遠い存在だ。
私には届かない「光」だ。
だから、手紙を書くことにした。
【 蓮へ
 お元気ですか。
 姫莉がお世話になってます。あの子、事務所でもムードメーカーですよね。
 私のせいで、姫莉がまた、家出しました。
 もう、3回目です。
 付き合っていたころにも、家出しましたよね、あの子。
 蓮は優しいので、「日葵のせいじゃない」とか言ってくれました。
 あんなに、優しいメッセージは初めてでした。すごく嬉しいです。
 正直に言います、私はあなたのことが好きです。
 でも、もう付き合うことはできません。
 理由は言えません。ごめんなさい。いつも迷惑をかけてばかりです。
 こんな私を愛してくれて、ありがとうございました。
 蓮が元気だと、私も嬉しいです。
 でも、元気ですよね。姫と一緒にドラマ出ましたよね。第一話、見ました!
 この手紙は、読んだ後に捨ててください。                日葵より】