「ただいま~」
愛花と別れて家に帰ると、『あの人』がいた。
「日葵ちゃ~んっ」
「ちょっと、姫!邪魔邪魔」
そう、私は…あの大大大人気アイドル、相沢姫莉の双子の姉なのです!
「日葵ちゃん、マカロン食べる~?今日、YouTubeの撮影やるんだけど」
「撮影やるならちょっと…カメラに写らないように、あとでこっそり食べていい?」
「全然いいよ~じゃあ、今から撮影やるから、静かにしててね~部外者の声入ると台無しだからっ♡」
姫は、とてもかわいらしいけどとても性格が悪い。
カメラの前ではとてもキラキラしてるのに、家に帰って来るなり、ポテチやジュースばかり食べている。
それなのに、太っていないのがうらやましい。
「どうも~あなたのハートにロックオン💘相沢姫莉で~す(キラシ)はい、ということで今日は…」
姫が撮影を始めたようだ。私はソワソワしながら家から出る。
「買い物しないと…」
私のお父さんとお母さんは、私たちが五歳の時、交通事故で死んでしまった。
だから、私たちは子供二人で住んでいる。
本当なら、施設に行くはずだったが、姫がアイドルを始めたので、今は自由な生活をしている。
私は、施設のほうがよかったのだけど。

 買い物から帰ってくると、姫がダンスの練習をしていた。
「ストロベリー🍓パンチッ!君のハートに💕キュンを渋滞させちゃうわ~(⋈◍>◡<◍)。✧♡」
ご機嫌で踊っている姫を邪魔するのはかわいそうだけど、このままずっと突っ立ってたら、せっかく買って来た食材がっ!
「姫、ダンスは終わり。ご飯食べるよ」
ほとんどお母さんやん、私。
「え~今度のライブ、由梨にゃんとあかりんが心配って言うから、後藤に頼んで、フォーメーションチェンジしてもらおうって思ってたんだけど」
年上マネージャーを呼び捨てにする勇気!すごいよ、すごい。
「でも、由梨ちゃんとあかりちゃんは、ダンスが上手じゃない。たまには、センター譲ってあげたら?」
「嫌だよ~私がセンターだもんっ!由梨にゃんとあかりんは私の横に居ればいいよ~😢」
私は、由梨ちゃんとあかりちゃんに会ったことがある。二人ともとてもいい子だ。
裏表がなくて、キラキラしてて…
「でも、たまには…」
「うるさい!日葵ちゃんは『すまいるっ💖』のメンバーじゃないでしょ。関係ないじゃん」
「ご、ごめんなさい」
「ご飯にサランラップかけといて~後で食べるからっ」
姫は、そう言い残すと、どこへ行くのやら、家から出た。