「日葵ちゃん、行ってきてね!」
姫は私の背中を押して言った。
「ちょっ、痛い。行ってくるね」
「行ってらっしゃい~」
バックをもって、外に出た。頭には帽子もかぶっている。
今日は晴れだ。雨も降らないし、帽子をかぶっている人は一人もいない。
なのに、なぜ帽子を用意したかというと、この前の大騒動で私の顔がバレたからだ。
学校でも「この子だ!」って言われて、目立つようになった。
幸い、愛花にはニュースを見られていなかったけど「これ何?」と言われるようになった。
目立つのは苦手だから、そういうのは避けたい。
マンションの階段を下りた。入口に誰かが立っていた。スマホを見ているのかも。
帽子を深くかぶっていて、顔は見えない。少し怪しいけど、悪い人ではなさそうだ。
「すみません。ちょっと、通りたいんですけど」
「日葵、話がある」
「はい?どちら様でしょう…蓮⁉」
なんでこんなところに、と言いたかったが、口をふさがれて何も言えなくなる。
ロビーの影に引っ張られて、少し苦しくなる。
「今からスタバ行くところだったんだけど」
「はぁ~⁉彼氏できた?えっ」
天然。今も天然。でも、変わってなくてよかった。
「できてません!姫が私とスタバ行きたいって言うから。可愛いでしょ、姫」
「お前の方が可愛いし」
「もう言いません。私たち別れました。他人です。心臓に悪いのでさよなら」
真剣に言ったのに、蓮ったら吹き出してる。ナゼなんだ?
「惚れてんだろ。明らかに、惚れてんだろ」
「昔は惚れてたよ。でも、今は…わかんない」
「すげー、素直。成長したな~」
私のことなんだと思ってんのかな、蓮って。犬?猫?どっち?ゴキ〇リはやめて。
「俺、成長してんのかな。日葵はしててすごいな。頑張ってるよな」
「成長、してないかも。話って何?姫が待ってるから、ちょっと…」
「俺と姫莉、どっちが大事だ」
「姫」
「早いよ…もうちょっと考えろよ」
悔しそうな顔をする蓮を見ると、あの頃の気持ちが溢れ出してしまいそうになる。
あの頃にはもう、戻れない。知ってる。知ってるのに。
姫は私の背中を押して言った。
「ちょっ、痛い。行ってくるね」
「行ってらっしゃい~」
バックをもって、外に出た。頭には帽子もかぶっている。
今日は晴れだ。雨も降らないし、帽子をかぶっている人は一人もいない。
なのに、なぜ帽子を用意したかというと、この前の大騒動で私の顔がバレたからだ。
学校でも「この子だ!」って言われて、目立つようになった。
幸い、愛花にはニュースを見られていなかったけど「これ何?」と言われるようになった。
目立つのは苦手だから、そういうのは避けたい。
マンションの階段を下りた。入口に誰かが立っていた。スマホを見ているのかも。
帽子を深くかぶっていて、顔は見えない。少し怪しいけど、悪い人ではなさそうだ。
「すみません。ちょっと、通りたいんですけど」
「日葵、話がある」
「はい?どちら様でしょう…蓮⁉」
なんでこんなところに、と言いたかったが、口をふさがれて何も言えなくなる。
ロビーの影に引っ張られて、少し苦しくなる。
「今からスタバ行くところだったんだけど」
「はぁ~⁉彼氏できた?えっ」
天然。今も天然。でも、変わってなくてよかった。
「できてません!姫が私とスタバ行きたいって言うから。可愛いでしょ、姫」
「お前の方が可愛いし」
「もう言いません。私たち別れました。他人です。心臓に悪いのでさよなら」
真剣に言ったのに、蓮ったら吹き出してる。ナゼなんだ?
「惚れてんだろ。明らかに、惚れてんだろ」
「昔は惚れてたよ。でも、今は…わかんない」
「すげー、素直。成長したな~」
私のことなんだと思ってんのかな、蓮って。犬?猫?どっち?ゴキ〇リはやめて。
「俺、成長してんのかな。日葵はしててすごいな。頑張ってるよな」
「成長、してないかも。話って何?姫が待ってるから、ちょっと…」
「俺と姫莉、どっちが大事だ」
「姫」
「早いよ…もうちょっと考えろよ」
悔しそうな顔をする蓮を見ると、あの頃の気持ちが溢れ出してしまいそうになる。
あの頃にはもう、戻れない。知ってる。知ってるのに。



