放課後。慣れない気持ちをなんとか整えながら、私は言った。
「れ、蓮…行こう」
なんと、私たちは付き合うことになったんだ。
とっても嬉しいけど、なんだか、まだ自覚がないって言うか。変な気分だ。
「日葵、あの時、びっくりしただろ」
「そりゃあ、びっくりするよ!みんながいる教室であんなこと言ったら!」
「ごめん。急すぎたよな」
「なんでそんなに大胆なの…」
「もう謝ったじゃん!」
すねている蓮さん…じゃなくて、蓮の頭を撫でようとしたけど、背が高いので届かない。
「届かねぇだろ」
「う、うん…」
たまに狼、たまに子犬。いや、ハスキー犬かな?
「日葵、あの時、目がヤバかった」
「どうなってたの?」
「振り子時計みたいだった」
「それは言いすぎだよ!」
他愛もない会話だけど、とっても愛おしい。
「離れんなよ?」
「っ!」
糖度120%のお言葉を頂いて、頭が真っ白でございます…
「初デートはどこ行きたい?」
「桜、見に行きたいね」
私にとって、お花見デートはあこがれだ。
人生で一回は行きたい。蓮さんとなら何もできるような気がする。
「告白してくれて、ありがとう」
蓮さんは得意げに笑うと、言った。
「日葵こそありがと」
にっこりと笑って、並木道を歩いた。寒いので手をつなぐ。
顔が真っ赤になった。「ゆでダコ」って言われそう…
「蓮、これからもよろしくね」
「ああ。日葵こそ」
雪が少し振っている。積もるほどではないが、ロマンチックだ。
夕暮れの並木道、私は幸せで満ち溢れた。