「日葵ちゃ~ん、行ってらっしゃい‼」
姫がやけにニヤニヤしながら私に行った。どうせ、私が告白すると思っているのだろう。
心の準備ができていない。今日、本当に私は告白できるのだろうか…
2月14日・バレンタインデーの一日が始まった。
 学校に着いた。教室に行ったら蓮さんがいると思ったら、背筋が凍る。
ゆっくり息を吸って、教室に入る。数人の「おはよ」が響いて、蓮さんが真っ先に向かってくるのが見えた。
「おはよう!」
ぎこちなくならないように、なるべく自然に挨拶をする…(?)
でも、ちゃんと挨拶できたか、分からない。
「日葵、おはよ!」
やけにテンションが高い。めっちゃ可愛い。
心の中でキャーキャー叫んでいる私だけど、バレたら超恥ずかしい。
「今日のテスト、頑張ろうな」
「え?」
「もしかして、日葵、忘れてるのか?今日、小テストの日だけど」
「あ、本当だ!どうしよう…復習してこなかったよ…」
今回は本当に忘れてしまった。せっかく『頑張ろう』って言ってくれたのに…
私、ダメダメだ…
急に自信がなくなる。でも、姫の言葉を思い出した。
『恋愛は魔法なんだから✨自信がなくても頑張るの!』
完璧主義でキラキラしている姫莉の言葉は刺さる。比べちゃいけない。
「姫は完璧。なんでもできる。」なんて思っちゃいけない。
私は覚悟した。今日、蓮さんに告白しよう。
「分かんないなら、勉強教える?」
「え、いいの?蓮さんだって、自分の…」
「いいよ、教えてあげる。日葵、算数が苦手だったよな?」
私の言葉をさえぎって蓮さんは言った。私、算数が苦手だっていうこと、一回しか言ってないけど…
覚えてくれたんだ!
「うん。ありがとう…なんか、ごめんね」
「全然謝らなくっていい」
優しすぎる…(神)
「じゃ、じゃあ、お願いします…。」
蓮さんはにっこりと笑うと言った。
「あとでな?たっぷり教えてあげる」
私は、その横顔を見つめて、死にそうになった。