その夜は眠れなかった。
蓮さんのことが頭から離れない。これが初恋なのかな?
認めたくないけど、そうなのかもしれない。
でも、初恋って、キュンキュンだけじゃないな。
蓮さんは美衣沙さんのことが好きだったら、まず、恋愛なんか興味なかったら、どうしよう。
他の女の子も、こうやって傷ついたり、喜んだりしてるのかな。
そう考えると、美衣沙さんのことが可哀そうになってきた。
結婚することも決まっていたのに、いきなり別の子と仲良くなっていたら、辛い。
きっと、美衣沙さんはそう思っているだろう。
ー私、やっぱり、諦めた方がいいかも。
恋愛なんかできっこないし。まず、初恋ってなんなのか知らないし。
そのまま、眠れずに朝が来てしまった。

 「おはよう、日葵。」
蓮さんが手を振ってくれた。キュン、と心臓の音がする。
「お、おはよう、蓮さん。」
返事がぎこちなくなってしまった。
「美衣沙のこと、気にしなくていいからな。」
「でも、それは」
「美衣沙、小学生の頃から、自分より気が弱い子をいじめてたんだ」
「そうなんだ。」
「だから、みんなはターゲットにならないように仲良くしてたんだよ、怖がりながら」
美衣沙さんって、思ったより怖い人なのかも。
先生の前では優しそうな人だから、ちょっと安心していた。
「本物の友情じゃないのかな」
「そうだな。っていうか、なんで俺には親切なんだろ。日葵、分かる?」
「えっ、あ、その…。蓮さんのことが、好き、なんじゃないかな」
「それはないよ!絶対、ない」
注意:蓮さんのことが好きな人は1000人ぐらいいると思います。
   話しかけられるとキュン死しかけます。
「なんで否定してるの。もしかして…」
「だ・か・ら!そういう関係じゃないって!いじわる」
蓮さんは、頬をプーっと膨らませて言った。超かわいい。
「きょ、教室に行きましょう」
心のなかで萌え散らかしている私に『もう終わり!』と行って、教室に向かった。