「たった一人の家族?何をご冗談を。一条家の家族は私とお父様とお母様の3人。千鶴お姉様は無能な使用人で、家族だなんて思ってませんことよ」
「千鶴はお前に事実を伝えることを迷っていた。異能者として努力を重ねてきた妹を悲しませたくなかったから」
凪一は千鶴から全てを聞いている。一条家の両親は跡継ぎが居なく、金に困っていた若い夫婦の命を奪い千鶴と玲華を屋敷に連れてきて育てたことを…。
事実を伝えることも可能だが、凪一はこれは千鶴本人の口から話した方がいいと考え、これ以上は何も言わなかった。
玲華は凪一の言葉を理解できずにいた。自分が悲しむなどない。もしあるとすれば両親から失望され、無能と言われた時だと。
姉に対して無能と言い続けてきたが、一番その言葉を恐れてきたのは玲華である。
一条家の跡取りとして少しでも力が及ばなければ父からも母からも無能として扱われる。
そうなれば屋敷を追い出されて一生異能者として地位も名誉も手に入れることができない。無能な姉より立場が下になってしまう。
「千鶴はお前に事実を伝えることを迷っていた。異能者として努力を重ねてきた妹を悲しませたくなかったから」
凪一は千鶴から全てを聞いている。一条家の両親は跡継ぎが居なく、金に困っていた若い夫婦の命を奪い千鶴と玲華を屋敷に連れてきて育てたことを…。
事実を伝えることも可能だが、凪一はこれは千鶴本人の口から話した方がいいと考え、これ以上は何も言わなかった。
玲華は凪一の言葉を理解できずにいた。自分が悲しむなどない。もしあるとすれば両親から失望され、無能と言われた時だと。
姉に対して無能と言い続けてきたが、一番その言葉を恐れてきたのは玲華である。
一条家の跡取りとして少しでも力が及ばなければ父からも母からも無能として扱われる。
そうなれば屋敷を追い出されて一生異能者として地位も名誉も手に入れることができない。無能な姉より立場が下になってしまう。


