(姉をそこまでして消したいか、この女は。ならば俺はここまでして一条家から妹を守ろうとした彼女を守るまで)


覚悟を決めた凪一。異能を発動させて玲華の異能を解除し、身体の自由を取り戻す。


「何故ですの…?私の異能は完璧なはず。いくら久世家の当主いえど、身動きを取れなければ異能など発動出来ないはず。それなのにどうして…?」


優秀な異能者として称えられていた玲華にとって初めての敗北。現実を受け止められずに動揺する。


「知りたいか?俺が異能を発動させることが出来たのは、お前の姉である千鶴のおかげだ」

「お姉様が?一体どういうことですの?!」


ーーそれは凪一が初めて千鶴と出会った時のこと。

千鶴から玲華の異能について話、対処法を伝えられていたのだ。


『玲華は優秀です。異能も強力で並の異能者では対処できません』

『ならばどうすればいい?動きを制限する異能は俺は出会ったことがない。久世家の本家にある異能に関しての書物には一度動きを制限されれば、発動した本人にしか解除出来ないと記されていたが』


あらゆる異能について書かれている久世家の書庫。歴代の久世家当主の記録や生い立ちが記されている。


『はい。本来であれば玲華本人しか異能の解除は出来ません。しかし、ひとつの欠点として相手の異能を封じることはできないのです』