「分かった。許可しよう」

「ありがとうございます」


(ふふっ。1日でも早く凪一様の心を私の虜に染め上げ、異能者としての地位と名誉を私のモノに…!お姉様、貴女には生まれて初めて感謝するわ。こんなにも早く、異能者としての名誉を手に入れることが出来るのだから。無能も時には役立つことがあるのね)


「千鶴」

「…はい、凪一様」


(いけない。慣れない呼ばれをして反応が遅れてしまったわ)


「お前には妹がいたそうだが、どういった関係であった?」

「関係、ですか?」

「どうした?家族なのだから話せないことは無いだろう?」


(あの無能のことは家族だなんて、一度も思ったことはありません事よ。しかし、話をしなければ怪しまれてしまう)


千鶴との関係は姉妹ではなく、主人と使用人の関係。そんな事、口が裂けても言えない玲華はどのように話せがいいのか悩んだ。


「…私、妹とはあまり話したことがなくて。妹は昔から優秀で、異能者として父から次期当主の座を約束されています。私はそんな妹を異能者として上へ上がれるように日々、手助けをしてまいりました」

「仲が悪かったのか?」

「そうではありません。これは私が望んだことなんです。無能な私など、妹の足を引っ張るだけの存在。重りを除いてやることであの子の負担を減らせます。それに、妹の力になれることで、無能な私でも異能者に貢献出来ます。これで良かったのです」