千鶴は部屋に記録簿を持ち込み、仕事を終えた夜にひっそりで読むようになる。

利政たち夫婦は子宝に恵まれなく、跡取りがいない状態だった。異能者の家系として組織から信頼を得ていた一条家では焦りを感じていた。

そんな事態を変えるべく、利政はある夫婦を訪ねる。夫婦には幼い2人の姉妹がいた。

夫婦には異能があり、その子供は異能を目覚めると確信した利政は大金と引き換えに姉妹を引き取ることを提案する。

しかし、いくらお金に困っていようと大切な子供たちを手放す訳にはいかないと夫婦は断った。

時間が無いと焦る利政は金で雇った得体の知れない人物に依頼して夫婦の命に手をかける。

その後、千鶴と玲華を屋敷へと連れていき、実の子供のように育てる。

数年後、次女の玲華は異能を完全に目覚めさせた。

利政の計画は現在に至るまで進行し続けている。玲華を立派な異能者として育て、将来は組織の中心として送り込む。

どこまでも欲に塗れた計画に吐き気がした。記録簿の紙をグシャっと握りしめる。


(玲華は利用されていたのね)