すると玲華はふと、昔母から言われたあることを思い出す。

まだ千鶴が教養を受けていた頃、姉の動きを真似する玲華を見て、『玲華と千鶴はそっくりね。まるで双子のよう。将来の2人はきっともっとそっくりな姉妹になるんでしょうね』と何気なく言っていたことを。

玲華は思い出してニヤっと意味深な笑みを浮かべると浮き足でとある場所へと向かった。


(そうよ。変われないのなら、“代わればいい”)


向かった先は屋敷の隅にある千鶴の部屋。普段は誰も近づくことのない場所。玲華は生まれて初めてこの場所を訪れた。


「お姉様、いらっしゃるかしら?私よ。玲華よ」

「玲華?」


自分の部屋に初めて来る妹に驚く千鶴。ゆっくりと襖を開けるといきなり玲華に手を掴まれる。


「何をするの?」

「それはあとのお楽しみよ?お姉様。ふふっ」


玲華が見せる笑みにただならぬ気配を感じる千鶴だが、一切の抵抗をせずに大人しくついて行く。

来た道を戻って千鶴を連れてきたのは自身の部屋。襖を開けて乱暴に腕を引っ張り、部屋に入れる。千鶴はバランスを崩して倒れ込む。


「いた…。何を企んでいるの?」

「何も知らなくていいのよ?だって、もうお姉様がこの部屋から出ることはないんですもの」

「何を言って…あっ!待って!!」