人は誰にも負の感情を心に持っている。それら亡くなっても尚、残り続ける。それを怨霊(おんりょう)という。

負の感情は稀に実体を持って世に現れる、実体を持つものを(おに)と人は呼ぶ。

異能者は鬼に対抗するための組織を作り、総力を上げて戦い続けている。

一条家(いちじょうけ)は異能者の家系として優秀で組織から強い信頼を得ている数少ない一族のひとつ。


そんな一条家の次女として生まれた玲華(れいか)は両親の期待に応えるべく、日々異能者として一条家の名に恥じぬように、努力を重ねてきた。


勉学も作法も一族から賞される程の優秀な成績を収め、当主である父・利政(としまさ)から次の当主として期待されている。


母・幸恵(さちえ)も鼻が高いと会う人全てに自慢している。

一条家は世間が認める優秀な家系。異能一族においても常に上に立ちづけている存在だ。


そんな一条家にはひとつの汚点があった。それは長女である千鶴(ちづる)には異能が無いことだ。