また女性が増えたよ……。
まったく女性に関わらなかったわけじゃないから女性に抵抗はないが、こうも女性ばかりの空間にいるのは居心地が悪い。意味もなく形見が狭いよ。
とりあえず、朝食の用意を進める。
魔法の鞄のお陰で冷蔵庫の容量を気にせず、惣菜も買ったときのまま出来立て状態。炊飯器も使えるので一人増えたところで問題なし。ただ、洗い物を減らすために紙皿とかになってしまうのが寂しいところだ。ちょっと味気ないよ……。
「さあ、食べてください」
「す、すみません、なんか突然……」
恐縮する宮脇さん。動画配信者らしいが、身も知らずの集団の中に入れられたら借りてきた猫状態になるんだな。
「気にしなくていいですよ。こんな状況にも慣れましたから。さあ、遠慮なく食べてください。たくさんありますんで」
カセットコンロをカウンターに出して目玉焼きを作る。
卵焼きはまだハードルが高いので目玉焼きから。ただ、火力が足りない。四人分となるとなかなか焼けんな~。
う~ん。さすがに一パックは入れすぎか? でも、これくらい余裕で食べてしまうのがルーシャだ。
テーブルがいっぱいになってしまったが、ルーシャが食べるほうが早い。空いたものはゴミ袋に入れてテーブルを快適にしていく。
「はー! お腹いっぱい! 毎日が最高です!」
働いていても働かなくても朝を食べるのが出来ないんだから世は無情だよな。バランスが大切ってことがよくわかるよ。
洗い物が少ないので片付けはすぐに終わり、コーヒーを淹れて食休み。
「で、どういう状況?」
「新田倉健吾スタジオの宣伝をミオチャンネルでやってもらいます!」
「ミオ?」
「宮脇早苗さんが配信しているチャンネルです。ミオは芸名みたいなものです」
あーなるほど。確かに実名で配信したら大変だもんな。名前を変えるのは当然か。
「朝起きたらエルフになっていた~とかで配信してもらって、徐々にエルフを流行らせます」
なんじゃそりゃ? そんなんでいいのか?
動画なんて最近観始めたので、阿佐ヶ谷妹の計画がいいのか悪いのかもわからない。なので口を出すことはしない。
「ま、まあ、璃子さんに任せるよ。なにか手伝えることがあったら言ってくれ」
若い子の発想についていけないアラサー。もっと世間に触れておくんだったと後悔する日々ですよ。
「ルーシャさん。ミオさんをエルフにしてください。一日続けられるくらいで」
「構わないわよ」
幻を纏わせるのはそう難しくないようで、指を振ると、宮脇さんが光ってエルフになった。
「ほら、ミオさん。鏡です」
手鏡を渡すと、宮脇さんが絶句。人って本当に驚くと目を見開いて、口を大きく開けるものなんだな。
「てか、なんで顔の輪郭変わるんだ?」
阿佐ヶ谷妹もエルフになったとき、輪郭が細くなってたが。
「素顔バレしたらいけないでしょう」
異世界のエルフに素顔バレを心配されました。ほんと、オレよりモラル高くね?
「こうして見ると、質感がヤバいな~。幻だとは思えないわ」
「……す、凄い……」
「凄いでしょう? 一日中、その姿です。あ、了さん。ちょっと外してください」
「はいよ」
短いとは言え、阿佐ヶ谷妹のことはわかってきた。いや、わからないことのほうが多いが、年頃の女性といたら気を使わなくちゃならない場面はわかってくるもの。これは着替えだと察し、ショルダーバッグと魔法の鞄を持って外に出た。
「お、道の駅、開店か」
田舎の道の駅は八時や八時半からやっているところもある。酒のツマミでも買っておくか。
「了。わたしも行くわ」
「いいのか?」
「わたしの出番はなさそうだから」
ルーシャも基本、受動的だ。本当は積極的なんだろうが、ここでは目立つようなことを控えている。じゃあ、姿を変えろって話だが、大抵の日本人は見て見ぬ振りをしている。たまに宮脇さんみたいなのが引っ掛かるだけだ。
道の駅みわは、物産館みたいなところがあり、地元の野菜や果物がたくさん並んでいた。
「なに買おうか?」
「ジャムとトマトを買いましょうよ。冷やしたトマトが食べてみたいわ」
「トマトか~。もう何年も食べてないな~」
ミニトマトならよく弁当に付いていたから食べてはいたが、大きいトマトとかいつ食べたかもわからない。冷やしたトマト、いいかも。
買い物を済ませて戻ると、なんかやたら露出度の高い服を着た宮脇さんがいた。どーゆー状況?
「了さん、どうです? エロいでしょう?」
なぜそれをオレに訊く? いや、唯一の男だけどさ。
「ま、まあ、そうは思うけど、大丈夫? BANされたりしない?」
あまりにも胸を強調してないか? てか、そんな形がわかるような服、ルーシャのじゃないよね? 宮脇さんに匹敵するサイズの持ち主いないよね?
「そこはもうちょっと抑えてもらいます。これはあたしの趣味です!」
趣味なんかい! いや、悪くはないけど……。
「宮脇さん。嫌なら嫌と言ってくれて構わないですからね」
てか、あなたは恥ずかしくないんか? 男に見られて?
「いや、まあ、恥ずかしいですけど、これなら登録者増えそうです。エロは大切ですから」
大切なんだ。オレには理解出来ない世界だよ。
「どうする? 別行動にする?」
「いえ、コス○コは行きたいので一緒に行きます。ミオさん。浜辺で撮りましょう。いきなり配信は危険ですからね。いろいろ撮って企画を考えましょう」
「ええ。よろしくお願いするわ」
よくわからない状況にはなったが、まあ、なるようになる。流れに身を任せるとしよう……。
まったく女性に関わらなかったわけじゃないから女性に抵抗はないが、こうも女性ばかりの空間にいるのは居心地が悪い。意味もなく形見が狭いよ。
とりあえず、朝食の用意を進める。
魔法の鞄のお陰で冷蔵庫の容量を気にせず、惣菜も買ったときのまま出来立て状態。炊飯器も使えるので一人増えたところで問題なし。ただ、洗い物を減らすために紙皿とかになってしまうのが寂しいところだ。ちょっと味気ないよ……。
「さあ、食べてください」
「す、すみません、なんか突然……」
恐縮する宮脇さん。動画配信者らしいが、身も知らずの集団の中に入れられたら借りてきた猫状態になるんだな。
「気にしなくていいですよ。こんな状況にも慣れましたから。さあ、遠慮なく食べてください。たくさんありますんで」
カセットコンロをカウンターに出して目玉焼きを作る。
卵焼きはまだハードルが高いので目玉焼きから。ただ、火力が足りない。四人分となるとなかなか焼けんな~。
う~ん。さすがに一パックは入れすぎか? でも、これくらい余裕で食べてしまうのがルーシャだ。
テーブルがいっぱいになってしまったが、ルーシャが食べるほうが早い。空いたものはゴミ袋に入れてテーブルを快適にしていく。
「はー! お腹いっぱい! 毎日が最高です!」
働いていても働かなくても朝を食べるのが出来ないんだから世は無情だよな。バランスが大切ってことがよくわかるよ。
洗い物が少ないので片付けはすぐに終わり、コーヒーを淹れて食休み。
「で、どういう状況?」
「新田倉健吾スタジオの宣伝をミオチャンネルでやってもらいます!」
「ミオ?」
「宮脇早苗さんが配信しているチャンネルです。ミオは芸名みたいなものです」
あーなるほど。確かに実名で配信したら大変だもんな。名前を変えるのは当然か。
「朝起きたらエルフになっていた~とかで配信してもらって、徐々にエルフを流行らせます」
なんじゃそりゃ? そんなんでいいのか?
動画なんて最近観始めたので、阿佐ヶ谷妹の計画がいいのか悪いのかもわからない。なので口を出すことはしない。
「ま、まあ、璃子さんに任せるよ。なにか手伝えることがあったら言ってくれ」
若い子の発想についていけないアラサー。もっと世間に触れておくんだったと後悔する日々ですよ。
「ルーシャさん。ミオさんをエルフにしてください。一日続けられるくらいで」
「構わないわよ」
幻を纏わせるのはそう難しくないようで、指を振ると、宮脇さんが光ってエルフになった。
「ほら、ミオさん。鏡です」
手鏡を渡すと、宮脇さんが絶句。人って本当に驚くと目を見開いて、口を大きく開けるものなんだな。
「てか、なんで顔の輪郭変わるんだ?」
阿佐ヶ谷妹もエルフになったとき、輪郭が細くなってたが。
「素顔バレしたらいけないでしょう」
異世界のエルフに素顔バレを心配されました。ほんと、オレよりモラル高くね?
「こうして見ると、質感がヤバいな~。幻だとは思えないわ」
「……す、凄い……」
「凄いでしょう? 一日中、その姿です。あ、了さん。ちょっと外してください」
「はいよ」
短いとは言え、阿佐ヶ谷妹のことはわかってきた。いや、わからないことのほうが多いが、年頃の女性といたら気を使わなくちゃならない場面はわかってくるもの。これは着替えだと察し、ショルダーバッグと魔法の鞄を持って外に出た。
「お、道の駅、開店か」
田舎の道の駅は八時や八時半からやっているところもある。酒のツマミでも買っておくか。
「了。わたしも行くわ」
「いいのか?」
「わたしの出番はなさそうだから」
ルーシャも基本、受動的だ。本当は積極的なんだろうが、ここでは目立つようなことを控えている。じゃあ、姿を変えろって話だが、大抵の日本人は見て見ぬ振りをしている。たまに宮脇さんみたいなのが引っ掛かるだけだ。
道の駅みわは、物産館みたいなところがあり、地元の野菜や果物がたくさん並んでいた。
「なに買おうか?」
「ジャムとトマトを買いましょうよ。冷やしたトマトが食べてみたいわ」
「トマトか~。もう何年も食べてないな~」
ミニトマトならよく弁当に付いていたから食べてはいたが、大きいトマトとかいつ食べたかもわからない。冷やしたトマト、いいかも。
買い物を済ませて戻ると、なんかやたら露出度の高い服を着た宮脇さんがいた。どーゆー状況?
「了さん、どうです? エロいでしょう?」
なぜそれをオレに訊く? いや、唯一の男だけどさ。
「ま、まあ、そうは思うけど、大丈夫? BANされたりしない?」
あまりにも胸を強調してないか? てか、そんな形がわかるような服、ルーシャのじゃないよね? 宮脇さんに匹敵するサイズの持ち主いないよね?
「そこはもうちょっと抑えてもらいます。これはあたしの趣味です!」
趣味なんかい! いや、悪くはないけど……。
「宮脇さん。嫌なら嫌と言ってくれて構わないですからね」
てか、あなたは恥ずかしくないんか? 男に見られて?
「いや、まあ、恥ずかしいですけど、これなら登録者増えそうです。エロは大切ですから」
大切なんだ。オレには理解出来ない世界だよ。
「どうする? 別行動にする?」
「いえ、コス○コは行きたいので一緒に行きます。ミオさん。浜辺で撮りましょう。いきなり配信は危険ですからね。いろいろ撮って企画を考えましょう」
「ええ。よろしくお願いするわ」
よくわからない状況にはなったが、まあ、なるようになる。流れに身を任せるとしよう……。


