エルフさんと癒され日帰り温泉旅へ

 朝起きたら雨だった。

 そう強い雨ではないが、この中で訓練したいかと問われたら今日は止めておこうってくらいの雨であった。

「こういうとくキャンピングカーにトイレが欲しいと思うよな~」

「贅沢ね。まあ、わからないではないけどね」

 トイレから帰って来たら運転席と助手席に座ってモーニングなコーヒーをいただいた。

「今日、家に帰るの?」

「ああ。リフォームは三日後にしてくれるようだから掃除をして、夜は日帰り温泉と道の駅に泊まるとしようか」

 平屋はほぼ物置みたいな感じだった。暮らすとしてもリフォームしなくちゃ快適には住めない。車中泊のほうが快適だろうよ。

「お金、足りる?」

「大丈夫だよ。ルーシャが持ってた金貨で足りるから」

 誰に売るかとかは聞かない。矢代さんが任せろと言ってくれたからな。なら、信じて待つとするさ。

「貯金もまだまだあるから問題はないよ。実子さんの先生の病気を治したら会社を継げるだろうしな」

「ありがとね」

「どう致しまして」

 ルーシャに未来をもらったからにはその恩を返さなければならない。恥知らずな人間にはなりたくないんでな。

 八時くらいに阿佐ヶ谷姉妹が起きたので朝食とする。

 のんびりしていた道の駅がオープンしたのでお金を落とすためにお土産を買うとする。

「道端さん。わたしも一旦帰ります。スタジオはまだ閉鎖してないみたいなので話をつけてきます。スポンサーとも話をつけたいので」

「ルーシャ、いくらか実子さんに渡してくれるか? オレ、もう現金がないからさ」

 コンビニで下ろすのを忘れて五千円くらいしかないんだよな。

「わかったわ。三十万円はあるはずよ」

「い、いいんですか!?」

「必要でしょう? 足りないときは送金しますから。璃子さんにも渡しておきますんで」

 サイフに五千円も入ってないとか言っていた。帰りに下ろして渡しておこう。

「必ずこのお礼はしますので」

「期待してますよ」

 その頑張りはルーシャを守るためになる。まあ、モデルとかやらされてしまうだろうけど。

「食事しつから帰りますか? 白河まで行けは店も開いているでしょうからね」

 確か、白河ラーメンってのもあったよな。せっかく通るのだから食べて行ってもいいだろうよ。東京まで下道でも二時間くらいだ。明るいうちには帰れるはずだ。

「はい。あ、シャワー浴びていいですか?」

「どうぞ。水はたっぷりあるので好きなだけ浴びてください」

 オレは外に出る。矢代さんみたいに見られても気にしないってタイプじゃないはらな。白河ラーメンを食えるところを探すとする。
 
「やっぱ、キャンピングカーだと町中を走るのはキツいな~」

 駐車場が広いところを見つけ、そこのラーメン屋に向かった。

 町から離れたところにあるラーメン屋だったけど、ワンタン麺が美味そうに見えた。

「喜多方ラーメンも美味しかったけど、わたしはこっちのほうが好みだわ」

 ワンタンチャーシューメンと餃子を美味しそうに食べるルーシャ。今日も全開でなによりだ。

「今回の旅で太りそうです!」

 言葉とは裏腹に食べる手を止めない阿佐ヶ谷妹。美味しそうに食べる女の子もいいものだ。うん? なんか親父っぽいこと言ってしまったな。

「美味かった。また来たいもんだ」

 白河なんて隣みたいなもの。また食べに来るとしよう。

「ごちそうさまでした。道端さん。璃子をお願いしますね。バカなことしたら殴り飛ばしていいですから」

 妹に容赦ない姉だよ。

「大丈夫ですよ。璃子さんはしっかりしていますから」

 たぶん、姉だから甘えているんだろうよ。兄弟いないのでわからんけど。

「そうだそうだ! 了さんがおにいちゃんだったら──」

 蹴りを入れられ沈黙する阿佐ヶ谷妹。ほんと、容赦ねー!

「しっかりルーシャさんを撮っておきなさいよ。パソコンはすぐに送るから。しっかり編集しておきなさいね」

「わかったわよ。あたしの人生もかかっているんだからさ」

 オレが二十二歳のとき、こんなに真剣に人生を考えてたかな? 就職して必死だったから覚えてねーや。

「ルーシャさん。このバカをお願いします。掃除得意な子だからガンガン働かせてください」

「それは頼もしいわね。頼りにしているね」

 にっこり笑うが、妙な迫力を秘めているから怖いんだよな、ルーシャって。たぶん、オレより遥かに上なような気がするんだよな……。

「では、また」

 ラーメン屋の駐車場で阿佐ヶ谷姉と別れた。てか、運転しているところ初めて見たよ。

「実子さん、運転できたんだ」

「運転手もやってたのに、ずっとあたしに運転させてたんです。叱ってくださいよ!」

 なんでオレが? 姉妹ケンカに巻き込まないでください。

「わかったよ。んじゃ、オレたちも帰ろうか」

 我が家って感じはしないが、これからオレたちの家となる場所だ。なんかそう思うと嬉しくなるな。

「あ、あたしに運転させてください。わたしも運転しなきちゃならないかもしれないんで」

 秋田まで運転するだけあってキャンピングカーでも物怖じしない。度胸は二十二歳とは思えないよ。

「じゃあ、お願いするかな。ルーシャは後ろに乗ってくれ。オレが助手席に乗るから」

「わかったわ」

 鍵を阿佐ヶ谷妹に渡し、我が家に帰るとする。