道の駅猪苗代はやはり混んでいた。
でも、RVパークは一台しか停まってない。人気ないのか?
受付を済ませ、設備を見たら納得。これはまあ、仕方がない。電気とゴミを捨てられるだけマシか。
「景色はお値段以上だな」
夕焼けに照らされた磐梯山が綺麗だ。眺めながら一杯やるか。
もう運転しないし、飲んでも構わないだろうと缶ビールを飲む。美味い!
一缶飲み終わった頃、阿佐ヶ谷姉からラインが入った。もうすぐ到着するそうだ。
十分くらいしてハスラーとプロボックスがやって来た。
「誰?」
プロボックスの運転手席から黒髪のエルフが出て来た。また異世界からやって来たのか!?
「璃子ですよ。ルーシャさんの魔法でエルフの姿にしてもらいました」
マ、マジか!? いや、空間を拡張するような存在。姿を変えるくらいわけないか。
「確かに璃子さんの面影があるような? いや、表情や動きは璃子さんだな」
姿を変えようとも中身が変わらないと言動に出てしまうものだ。
「やっぱりわかっちゃいます? おねーちゃんも同じこと言ってました」
「外がどれだけ代わろうと中身が変わらないのなら意味はないわ」
確かに同じことを言っている。オレも阿佐ヶ谷姉タイプなんだろうか?
「了。道の駅でなにか買い物した?」
「いや、なにも買ってないよ。必要なものは買ってあるしな。買うなら急いだほうがいい。十八時終わりだから」
あと二十分くらいで閉店だ。二十分もあれば充分だろう。道の駅あいづでもたくさん買ったんだから。
RVパーク利用なので金は落とさなかったよ。
「じゃあ、行って来る」
「わたしも~」
阿佐ヶ谷妹もついて行った。なにか買ってもらうつもりなんだろう。
「元気だね」
「羨ましい限りよ。一時間眠ったら元気になっているんだから」
あれが若さというんだろうか? オレもあの頃は徹夜しても平気だったしな。
「疲れたなら眠ってもいいですよ。オレはゴミ出しするんで」
補給と排水はガソリンスタンドでやってきた。これがなきゃキャンピングカーは快適なんだがな。
「大丈夫ですよ。璃子に運転させてたのでわたしは眠くありません」
「若いのに長距離運転出来ますよね」
オレはまだ百キロ運転すると疲れるよ。長距離なんて今回が初めてだし。
「田舎は車がないとやってられませんからね。璃子も東京に来るまでは車通勤してましたから」
働いてたんだ。新卒とは違うな~と思っていたのはそれだったんだな。
「声優になるとか考えもなしに出て来てフリーターなんだから困ったものですよ」
「道端さんが社長となって雇ってあげてください。彼女、戦力になりますよ」
矢代さんが言うとなぜか信頼味を感じるから不思議だよ。勘と経験に基づいたものがあるんだろう。
「社長をやるなら経理を見つけないといけませんね」
「それなら紹介できますよ。スタジオで経理をしていた元木さんって女性です。と言うか、もしかしたらスタジオの社長を道端さんに譲ってもらえるかもしれません。今、先生の奥さんと相談してるので」
田倉健吾スタジオか。なんか有名な人らしいが、オレはまったく知らない。仕事仕事で世間にも疎いしさ。
「道端さんを社長にわたしはカメラマン。璃子は助手兼事務員。ルーシャさんは専属モデルです」
上手く行くのかは謎だが、阿佐ヶ谷姉が上手く働けるように補佐して、ルーシャが生きて行けるようにするにはそうするしかない。なにもないときは日帰り温泉旅行にも出られるらしいからな。
「まあ、がんばってみますよ。営業とか自信がないですけど」
「そこはわたしに任せてください。わたしが一番の取引先になりますから」
矢代さんが言うと恐ろ頼もしい限りだ。
「そうだ。実子さん。一枚お願いしていいですか? 磐梯山が綺麗なので記念にしたいんで」
「あ、わたしも写りたいです」
「いいですよ。任せてください」
と言うので磐梯山をバックに矢代さんと記念写真を一枚。旅の一ページとしては最高だな。
「あ、カメラでも撮りたいので」
なぜかごっついカメラも出して記念写真を一枚撮ってくれた。
「あとで印刷して送りますね」
なんだ、矢代さん用に撮ったのか。まあ、矢代さんも記念写真とか撮ってなかったしな。旅の一ページが欲しかったのだろうよ。
「璃子さんは撮らないんですか?」
「撮ったわ。魔法が物理と知ったわ」
キャンピングカーに入り、撮したものを見せてもらった。
「ちゃんとカメラに写るものなんですね」
魔法が物理と言った意味がわかった。ちゃんとエルフになった阿佐ヶ谷妹が写っていた。心霊写真みたいなものか?
「印刷してもエルフのままかどうか、明日、コンビニに行って印刷してみます」
「エルフのままだったら璃子さんもモデルにするので?」
「あれはダメね。見た目は変わっても華がないわ」
ほんと、この人は辛辣だな~。
「でも、動画はやらせてみるわ。スタジオの宣伝にもなりますから」
どうするかは聞かないでおく。たぶん、聞いてもわからないだろうから。
「もう一軒、借りないといかないとな」
東京の事務所は契約の関係で切れてしまうので、オレのところに移そうと相談し、それに会わせて阿佐ヶ谷姉妹も那須塩原に居を移すとか言っているのだ。
東京にあったほうがいいとは思うのだが、しばらくはルーシャをモデルにやって行くからいいんだとさ。矢代さんもそれでいいかもと言っている。
「生きるとなると忙しくなるものですね」
「ルーシャさんに感謝ですね」
まったくもってその通り。楽しい人生にするためにがんばるとしよう。
でも、RVパークは一台しか停まってない。人気ないのか?
受付を済ませ、設備を見たら納得。これはまあ、仕方がない。電気とゴミを捨てられるだけマシか。
「景色はお値段以上だな」
夕焼けに照らされた磐梯山が綺麗だ。眺めながら一杯やるか。
もう運転しないし、飲んでも構わないだろうと缶ビールを飲む。美味い!
一缶飲み終わった頃、阿佐ヶ谷姉からラインが入った。もうすぐ到着するそうだ。
十分くらいしてハスラーとプロボックスがやって来た。
「誰?」
プロボックスの運転手席から黒髪のエルフが出て来た。また異世界からやって来たのか!?
「璃子ですよ。ルーシャさんの魔法でエルフの姿にしてもらいました」
マ、マジか!? いや、空間を拡張するような存在。姿を変えるくらいわけないか。
「確かに璃子さんの面影があるような? いや、表情や動きは璃子さんだな」
姿を変えようとも中身が変わらないと言動に出てしまうものだ。
「やっぱりわかっちゃいます? おねーちゃんも同じこと言ってました」
「外がどれだけ代わろうと中身が変わらないのなら意味はないわ」
確かに同じことを言っている。オレも阿佐ヶ谷姉タイプなんだろうか?
「了。道の駅でなにか買い物した?」
「いや、なにも買ってないよ。必要なものは買ってあるしな。買うなら急いだほうがいい。十八時終わりだから」
あと二十分くらいで閉店だ。二十分もあれば充分だろう。道の駅あいづでもたくさん買ったんだから。
RVパーク利用なので金は落とさなかったよ。
「じゃあ、行って来る」
「わたしも~」
阿佐ヶ谷妹もついて行った。なにか買ってもらうつもりなんだろう。
「元気だね」
「羨ましい限りよ。一時間眠ったら元気になっているんだから」
あれが若さというんだろうか? オレもあの頃は徹夜しても平気だったしな。
「疲れたなら眠ってもいいですよ。オレはゴミ出しするんで」
補給と排水はガソリンスタンドでやってきた。これがなきゃキャンピングカーは快適なんだがな。
「大丈夫ですよ。璃子に運転させてたのでわたしは眠くありません」
「若いのに長距離運転出来ますよね」
オレはまだ百キロ運転すると疲れるよ。長距離なんて今回が初めてだし。
「田舎は車がないとやってられませんからね。璃子も東京に来るまでは車通勤してましたから」
働いてたんだ。新卒とは違うな~と思っていたのはそれだったんだな。
「声優になるとか考えもなしに出て来てフリーターなんだから困ったものですよ」
「道端さんが社長となって雇ってあげてください。彼女、戦力になりますよ」
矢代さんが言うとなぜか信頼味を感じるから不思議だよ。勘と経験に基づいたものがあるんだろう。
「社長をやるなら経理を見つけないといけませんね」
「それなら紹介できますよ。スタジオで経理をしていた元木さんって女性です。と言うか、もしかしたらスタジオの社長を道端さんに譲ってもらえるかもしれません。今、先生の奥さんと相談してるので」
田倉健吾スタジオか。なんか有名な人らしいが、オレはまったく知らない。仕事仕事で世間にも疎いしさ。
「道端さんを社長にわたしはカメラマン。璃子は助手兼事務員。ルーシャさんは専属モデルです」
上手く行くのかは謎だが、阿佐ヶ谷姉が上手く働けるように補佐して、ルーシャが生きて行けるようにするにはそうするしかない。なにもないときは日帰り温泉旅行にも出られるらしいからな。
「まあ、がんばってみますよ。営業とか自信がないですけど」
「そこはわたしに任せてください。わたしが一番の取引先になりますから」
矢代さんが言うと恐ろ頼もしい限りだ。
「そうだ。実子さん。一枚お願いしていいですか? 磐梯山が綺麗なので記念にしたいんで」
「あ、わたしも写りたいです」
「いいですよ。任せてください」
と言うので磐梯山をバックに矢代さんと記念写真を一枚。旅の一ページとしては最高だな。
「あ、カメラでも撮りたいので」
なぜかごっついカメラも出して記念写真を一枚撮ってくれた。
「あとで印刷して送りますね」
なんだ、矢代さん用に撮ったのか。まあ、矢代さんも記念写真とか撮ってなかったしな。旅の一ページが欲しかったのだろうよ。
「璃子さんは撮らないんですか?」
「撮ったわ。魔法が物理と知ったわ」
キャンピングカーに入り、撮したものを見せてもらった。
「ちゃんとカメラに写るものなんですね」
魔法が物理と言った意味がわかった。ちゃんとエルフになった阿佐ヶ谷妹が写っていた。心霊写真みたいなものか?
「印刷してもエルフのままかどうか、明日、コンビニに行って印刷してみます」
「エルフのままだったら璃子さんもモデルにするので?」
「あれはダメね。見た目は変わっても華がないわ」
ほんと、この人は辛辣だな~。
「でも、動画はやらせてみるわ。スタジオの宣伝にもなりますから」
どうするかは聞かないでおく。たぶん、聞いてもわからないだろうから。
「もう一軒、借りないといかないとな」
東京の事務所は契約の関係で切れてしまうので、オレのところに移そうと相談し、それに会わせて阿佐ヶ谷姉妹も那須塩原に居を移すとか言っているのだ。
東京にあったほうがいいとは思うのだが、しばらくはルーシャをモデルにやって行くからいいんだとさ。矢代さんもそれでいいかもと言っている。
「生きるとなると忙しくなるものですね」
「ルーシャさんに感謝ですね」
まったくもってその通り。楽しい人生にするためにがんばるとしよう。


