まったく掠りもせず、息を切らして地面に倒れてしまった。
……い、息を吸いすぎて肺が痛い……。
ヒーヒー言っていると、なにか柔らかい熱が流れて来た。
「回復魔法よ。加圧式訓練みたいなもので、疲労と回復をすれば普通に訓練するより成長するのよ」
加圧式とかネットで学んだのか? 常にスマホを持ち歩いているだけはある。
「はい、水」
ペットボトルを受け取り、半分くらい飲み干してしまった。
「ありがとう。なんか気持ちいいよ。凄いな、回復魔法って」
「病気には効果はないけどね」
「病気に回復魔法をかけたら病状が悪化したりするのか?」
「そうね。活性化するから病状も進んでしまうのよ。結構、回復魔法って使いどころを選ぶのよね」
魔法も使い方次第ってわけか。
「回復魔法で脂肪を燃焼とか出来たりする?」
矢代さんの脂肪を燃焼させれば通風予防になるんじゃないか?
「……そうね。攻撃と回復を同時にやれば行けるかも知れないわ。了はおもしろいこと考えるわね」
「いや、楽に痩せられたらいいな~と思っただけさ。日本には痩せたいヤツがいっぱいいるからな。楽して痩せられるなら金を出すヤツはいくらでもいる。つまり、稼げるってわけさ」
ルーシャに出来ることが増えたらこの世界でも生きて行ける。魔法でなにが出来るかを知っておく必要があるってことだ。
「動けば勝手に痩せるじゃない」
「それが出来ない人間が多いってことさ。もう一本頼むよ」
とりあえず、息切れは落ち着き、力も戻って来た。もう一本お願いするとしよう。
「そ、そもそも体力がなかったんだっけ」
ないものは増えない。少しずつ身に付けて行くものでした。
「一朝一夕には行かないってわけことね。また明日やりましょう」
「よろしくお願いします」
ハァー。エネルギーをかなり持って行かれたようで腹の虫が騒いでいるよ。
汗もかいたので、キャンピングカーのシャワーを使うとする。
「また捨てるところ探さないとな~」
一泊二泊ならいいのだが、長いこと旅をすると貯水タンクがすぐなくなってしまう。あ、ルーシャの魔法で拡張できるか。
「空間が拡張できるなら貯水タンクと排水タンクも出来るってことだ……ん?」
シャワーを早々に切り上げ、バスタオルを取ろうとしてドアを開けたら矢代さんがいた。起きてたんかい。
「あ、どうぞ」
と、バスタオルを渡された。
「大丈夫ですよ。わたしも年相応に経験してますから」
なんて言っていいのかわからないので「あ、はい」と言ってドアを閉めた。
オレも三十を越えて見られたからと言って騒ぐこともない。てか、オレもなにかと目にしている。この狭い車内では仕方がないんだよ。
服は外にあるので腰に巻いて外に出る。
「わたしも使っていいですか?」
「どうぞ。バスタオルはここに置いておきますね」
ドアを開けた前の棚にバスタオルを置いた。
「ありがとうございます」
と、服を脱ぎ出す矢代さん。家族でもなければ恋人同士でもいので回れ右。見ないのがエチケットだ。
ルーシャにはもう見られたところでなんとも思わないので、普通に服を着た。
矢代さんがシャワー室に入ったので、キッチンで髪を乾かす。うるさいのは我慢してください。
「ルーシャ、もしかしてだけど、バンクベッド、空間を拡張してたりする?」
バンクベッドはスライド式で、起きたら荷物をそこに移動させる。だから置くを気にすることはなかった。ルーシャの寝室でもあるからな。
「ええ。四倍くらい拡張したわ」
やっぱりか。最近、着替えをするところ見てないな~と思ってたら、バンクベッドを拡張していたからか。
「それなら厚みのあるマットレスを置けるな」
下のマット、そこまで厚くないから体が痛くなるんだよな。
「もうちょっと魔力が貯まれば二部屋くらいの広さは拡張出来るわ」
そうなったら完全に走る家になるな。いや、魔法のキャンピングカーか?
「その前に貯水タンクと排水タンクを拡張させてくれ。いつでもシャワーを浴びられるからな」
シャワー室も拡張してくれたらゆったりと浴びられるな。
「わかったわ。わたしもシャワーを浴びたいし。ただ、トイレは温水洗浄便座じゃないともう入りたくないわ」
「借りている家、温水洗浄便座じゃないや」
俗に言うボットン便所だ。
「ま、まあ、リフォームさせてもらえば問題ないだろう」
あとで村田さんに電話してリフォームしてもらうか。支払いはこちらにしたら許してくれるだろう。
「お金、大丈夫?」
「大丈夫。金なんて働けば貯まるものさ」
こうして元気になったのだから肉体労働だって出来る。コンビニバイトならすぐにでも働けるはずだ。一日十八時間労働をしてきた男に出来ない仕事はない。
「金貨ならまだあるからね」
「売るのが面倒だから一年に一回。一枚だけ売るとしよう」
変な疑惑を持たれてルーシャが異世界から来たことがバレたら大変だ。穏やかに暮らすためにも正規に働いたほうがいい。
「密かに換金したいのならわたしがやりますよ。アンダーグラウンドな知り合いがいますから」
バスタオルを巻いて矢代さんが出て来た。テレビ以外でそんなことする女性を見たの初めてだよ!
「ルーシャさんを守るため、ですよ」
そう言われたらなにも言えない。ルーシャに革袋に入った金貨を出してもらい、矢代さんに渡した。
「手数料は任せます」
「はい。お任せください。クリーンなお金にしてもらいますから」
詳しいことは聞かない。聞いても理解出来ないし、理解したいとも思わない。この世の中にはアンダーグラウンドがあるのだからな。てかこの人、やっぱり怖いよ……。
……い、息を吸いすぎて肺が痛い……。
ヒーヒー言っていると、なにか柔らかい熱が流れて来た。
「回復魔法よ。加圧式訓練みたいなもので、疲労と回復をすれば普通に訓練するより成長するのよ」
加圧式とかネットで学んだのか? 常にスマホを持ち歩いているだけはある。
「はい、水」
ペットボトルを受け取り、半分くらい飲み干してしまった。
「ありがとう。なんか気持ちいいよ。凄いな、回復魔法って」
「病気には効果はないけどね」
「病気に回復魔法をかけたら病状が悪化したりするのか?」
「そうね。活性化するから病状も進んでしまうのよ。結構、回復魔法って使いどころを選ぶのよね」
魔法も使い方次第ってわけか。
「回復魔法で脂肪を燃焼とか出来たりする?」
矢代さんの脂肪を燃焼させれば通風予防になるんじゃないか?
「……そうね。攻撃と回復を同時にやれば行けるかも知れないわ。了はおもしろいこと考えるわね」
「いや、楽に痩せられたらいいな~と思っただけさ。日本には痩せたいヤツがいっぱいいるからな。楽して痩せられるなら金を出すヤツはいくらでもいる。つまり、稼げるってわけさ」
ルーシャに出来ることが増えたらこの世界でも生きて行ける。魔法でなにが出来るかを知っておく必要があるってことだ。
「動けば勝手に痩せるじゃない」
「それが出来ない人間が多いってことさ。もう一本頼むよ」
とりあえず、息切れは落ち着き、力も戻って来た。もう一本お願いするとしよう。
「そ、そもそも体力がなかったんだっけ」
ないものは増えない。少しずつ身に付けて行くものでした。
「一朝一夕には行かないってわけことね。また明日やりましょう」
「よろしくお願いします」
ハァー。エネルギーをかなり持って行かれたようで腹の虫が騒いでいるよ。
汗もかいたので、キャンピングカーのシャワーを使うとする。
「また捨てるところ探さないとな~」
一泊二泊ならいいのだが、長いこと旅をすると貯水タンクがすぐなくなってしまう。あ、ルーシャの魔法で拡張できるか。
「空間が拡張できるなら貯水タンクと排水タンクも出来るってことだ……ん?」
シャワーを早々に切り上げ、バスタオルを取ろうとしてドアを開けたら矢代さんがいた。起きてたんかい。
「あ、どうぞ」
と、バスタオルを渡された。
「大丈夫ですよ。わたしも年相応に経験してますから」
なんて言っていいのかわからないので「あ、はい」と言ってドアを閉めた。
オレも三十を越えて見られたからと言って騒ぐこともない。てか、オレもなにかと目にしている。この狭い車内では仕方がないんだよ。
服は外にあるので腰に巻いて外に出る。
「わたしも使っていいですか?」
「どうぞ。バスタオルはここに置いておきますね」
ドアを開けた前の棚にバスタオルを置いた。
「ありがとうございます」
と、服を脱ぎ出す矢代さん。家族でもなければ恋人同士でもいので回れ右。見ないのがエチケットだ。
ルーシャにはもう見られたところでなんとも思わないので、普通に服を着た。
矢代さんがシャワー室に入ったので、キッチンで髪を乾かす。うるさいのは我慢してください。
「ルーシャ、もしかしてだけど、バンクベッド、空間を拡張してたりする?」
バンクベッドはスライド式で、起きたら荷物をそこに移動させる。だから置くを気にすることはなかった。ルーシャの寝室でもあるからな。
「ええ。四倍くらい拡張したわ」
やっぱりか。最近、着替えをするところ見てないな~と思ってたら、バンクベッドを拡張していたからか。
「それなら厚みのあるマットレスを置けるな」
下のマット、そこまで厚くないから体が痛くなるんだよな。
「もうちょっと魔力が貯まれば二部屋くらいの広さは拡張出来るわ」
そうなったら完全に走る家になるな。いや、魔法のキャンピングカーか?
「その前に貯水タンクと排水タンクを拡張させてくれ。いつでもシャワーを浴びられるからな」
シャワー室も拡張してくれたらゆったりと浴びられるな。
「わかったわ。わたしもシャワーを浴びたいし。ただ、トイレは温水洗浄便座じゃないともう入りたくないわ」
「借りている家、温水洗浄便座じゃないや」
俗に言うボットン便所だ。
「ま、まあ、リフォームさせてもらえば問題ないだろう」
あとで村田さんに電話してリフォームしてもらうか。支払いはこちらにしたら許してくれるだろう。
「お金、大丈夫?」
「大丈夫。金なんて働けば貯まるものさ」
こうして元気になったのだから肉体労働だって出来る。コンビニバイトならすぐにでも働けるはずだ。一日十八時間労働をしてきた男に出来ない仕事はない。
「金貨ならまだあるからね」
「売るのが面倒だから一年に一回。一枚だけ売るとしよう」
変な疑惑を持たれてルーシャが異世界から来たことがバレたら大変だ。穏やかに暮らすためにも正規に働いたほうがいい。
「密かに換金したいのならわたしがやりますよ。アンダーグラウンドな知り合いがいますから」
バスタオルを巻いて矢代さんが出て来た。テレビ以外でそんなことする女性を見たの初めてだよ!
「ルーシャさんを守るため、ですよ」
そう言われたらなにも言えない。ルーシャに革袋に入った金貨を出してもらい、矢代さんに渡した。
「手数料は任せます」
「はい。お任せください。クリーンなお金にしてもらいますから」
詳しいことは聞かない。聞いても理解出来ないし、理解したいとも思わない。この世の中にはアンダーグラウンドがあるのだからな。てかこの人、やっぱり怖いよ……。


