エルフさんと癒され日帰り温泉旅へ

 風呂から上がったら施設で休むことなく道の駅に帰った。

 我慢に我慢を重ねたあとのビールは美味い。生き返るとはこのことだろう。

「いや~。最近のキャンピングカーってエアコンもしっかりしているんですね」

 風呂上がりだからではなく、今日は気温が高い。まだ二十度はあるんじゃないか? エアコンがなければ夏の旅なんて出来ないだろうよ。

「そうですね。ありがたい限りです」

 エアコンが効いた車内で飲むビール。今日は二缶は飲めそうだ。

 ルーシャと矢代さんはもう日本酒に移っている。相変わらずペースが早い二人だよ。

「なにか食べる?」

 鳩のマークのスーパーで惣菜は買ってある。オレは刺身が食いたかったので盛合せを買いました。

「はい、お願いします!」

 矢代さんも海鮮系だが、イカの塩辛やニシン漬けと言った加工品が、いや、酒のつまみ系が好きなようだ。てか、塩分取りすぎ。明日の朝はバナナを食べなさい。

 ルーシャは揚げ物系が好きなようで、コロッケで日本酒を飲めるエルフだ。ちなみにコロッケには醤油派のようだ。オレはマヨね派なのは黙っておこう。

 オレは刺身を肴に二缶目のビールに手を伸ばす。

「道端さん、今日は飲みますね。日本酒も行きます?」

「明日も運転があるから止めておくよ。矢代さんもほどほどにしておいたほうがいいですよ」

 明日は土曜日。さらに混むことだろう。さすがに居座るのはマナー違反だろうよ。

「あー。車が小さくできたらキャンピングカーにお邪魔できるのにな~。ルーシャさん、なんかいい魔法ありませんか?」

「あるわよ」

 さらっと答えるルーシャ。マジなの?

「小さくする魔法はないけど、魔法の鞄になら入れられるわよ。さらに容量を増やしたから」

 ま、魔法って便利やな~。って感想しか出て来ない。

「鞄の中で転がったりしないんですか?」

「しないわよ。入ったままの状態で固定されるわ。まあ、人を入れたらどうなるかは試してみないとかわらないけど」

 それは一生試さないでください。怖いから。

「それは最高~! 遠慮なく飲めますね!」

 いや、遠慮しなさいよ。通風になっても知らないからね。

「ほどほどにね」

 どうせ言っても聞きやしない。オレは先に眠らせてもらうから。運転手は体調管理が大切なんでね。

 ベッドにしたところで横になり、すぐに眠りについた。

 ビールを二本も飲んだからか、夜中にトイレに行きたくなって目覚めた。

 二人も宴会を終了させており、ルーシャはいつものようにバンクベッドに上がっており、矢代さんはオレの横で眠っていた。

 ……この人はオレの横でじゃいと眠れないのか……?

 もう同じ夜を過ごした仲とは言え、もっと警戒とかしなさいよ。オレだって正常な男なんだからさ。

 と言って手を出すような勇気もなし。てか、この人に手を出したらなんかいろいろ終わりそうな気がする。自分の将来を考えて毛布をかけ直してトイレに。すっきりしたらまた深く眠りについた。

 物音がして目覚めると、ルーシャがトイレに起きたようだ。

「早いね?」

「うん。喉が乾いてね」

 ルーシャの中で決まりがあるのか、朝は酒を飲んだりはしない。二リットルの水を一気飲み。ほんと、不思議な胃を持ったエルフである。

「トイレに行って来る」

 耳を隠せるキャスケットって帽子をかぶって出て行った。

 まだ五時半なので、もう少し眠るとする──が、なんか目が覚めてしまったので、ルーシャが戻って来たら散歩に出てみる。

「わたしも行くわ。少し体を動かしたいから」

 と言うので二人で散歩に出かけた。

 川沿いの道の駅なので、川を見に行ってみる。

 公園みたいなのがあり、車中泊した人なのか、犬の散歩をさせていた。

「小さい頃、犬を飼ってたっけ」

「ここの人って犬を飼う人多いよね。それだけ豊かってことなのか」

 異世界にも犬はいるようで、金持ちがよく飼っているそうだ。

「体を鍛えるためなランニングしようかな?」

 ジムに行ってまで鍛えようとは思わない。朝に走るだけでも体は鍛えられるはずだ。

「それなら剣を教えてあげる。結構体を使うから鍛えられるわよ」

「ルーシャ、剣を使えるんだ」

 魔法使いだから魔法で戦うのかと思ってたよ。

「達人ってほどではないけど、熊くらいの魔物なら何度も倒したことはあるわ」

 剣で熊とか倒せるんだ。しかも、なんか余裕っぽい。戦闘力、53とあるんじゃなかろうか?

 ……オレはきっと戦闘力2のゴミなんだろうな……。

「じゃあ、お願いしようかな。って、棒になるものがないな」

 川だから探せば手頃な枝が落ちているか?

「大丈夫よ。あるから」

 と、どこからか木刀を出した。

 魔法があるからどこからか出しても驚きはないが、この木刀、この世界のものだよね? いつの間に買ったのよ? いや、まだ令和の時代に木刀なんて売っているところあったんだ。

「米沢のお城で売ってたから買っておいたわ」

 そう言えば、欲しいものがあるからと一万円を渡したっけ。あのときに買ったんかい。魔法を万引きに使わないでくれよ。

 木刀を受け取り、素振りしてみる。

 中学の体育で竹刀を持っていらいか? どう振るんだっけ?

「型とか構えとか気にしなくていいわ。わたしに打ってきて。思いっきりよ。どうせ当たらないと思うから」

 そりゃ戦闘力53はありそうだもんな。戦闘力2のゴミが当てられるわけがない。なので、本気で打ち込んで行った。