「おー! 凄い!」
阿佐ヶ谷妹がテーブルに並べられた料理に大興奮。姉にはしたないと怒られた。
「待って。ルーシャさん。そこに座って一枚撮らして」
常にカメラマンな阿佐ヶ谷姉。忙しない人だよ……。
一枚どころか百枚は撮っただろうか。満足してやっと席に座れた。
今日は団体客はおらず、キャンセルした人のお陰で中広間(個室)なので他のお客に迷惑をかけることはない。
「ルーシャ。お酒はどうする? 頼めるけど」
「飲みたい。お風呂上がり、我慢してたから」
じゃあ、まずはビールか。
「矢代さんもまずはビールでいい? 璃子さんは?」
姉の実子さんは飲まないとか言ってたしな。
「飲みます!」
ってことでビールは三つ。オレと実子さんはソフトドリンクとする。
「了さんは、飲めないんですか?」
「飲めるけど、そんなに飲めるほうじゃないんですよ。仕事帰りに缶ビールを一缶飲むくらいですね。一年前からは飲んでなかったので耐性がなくなりました」
元気になったんだからいろいろ飲んでみたいが、まだ体が慣れていない。今は少しずつ慣らしている段階だ。
ビールやソフトドリンクが運ばれてきて乾杯する。
「乾杯なんて久しぶりだな」
仕事が忙しくて飲み会もなかった。ほんと、いつ以来だろうな?
「女性に囲まれて幸せですね」
茶化すように隣にいる阿佐ヶ谷姉から肘打ちされてしまった。
「あはは。そうだね。役得だ」
別にそこまでウブではないが、考えてみれば女性に囲まれている状況だわな。皆浴衣姿で、外から見たら羨ましがれるだろうよ。
まあ、正直そこまで嬉しいかと言われたらそこまででもないか。一癖も二癖もあるような人ばかりだからな。純粋に喜べない自分がいるよ。
「こんな豪華な料理、久しぶりだわ~」
「わたしも。去年振りかな?」
「大人はいいな~。あたしなんて小学生以来だよ」
オレはいつ以来だろう? 幼稚園とか小学校低学年か以来か? 昔すぎてどこだったかもわからんよ。
「いいものね。たくさんで食べる食卓も」
ルーシャは長いこと一人で旅をしており、二人で食べるのもいつ以来かわからないって言ってたっけ。
「そうだな。家族旅行に来たみたいだよ」
家族旅行ってより兄弟旅行か? てか、オレが一番年上になるのか? ルーシャは別として、だけど。
「了。そろそろ日本酒が飲みたいわ」
そろそろもなにもビール飲んだばかりだよね。まあ、それも慣れたけど。
タブレット注文なので純米大吟醸酒セットってのを二人分頼んだ。阿佐ヶ谷妹は食べるのに必死のようだから。
「くぅ~。旅館で飲む酒は美味い!」
「矢代さん。ほどほどですよ。あなたそんなに強くないんだから」
また帰れなくなるよ。車だって道の駅に置いて来ちゃったんだから。また売店でお金を落とさせていただきます。
「わかってますって。安心してくださいな」
安心出来るペースじゃないんだよな~。
「璃子さん。これもどうぞ」
まだ胃袋が小さいので半分くらいで腹が膨れてしまった。まだ若い阿佐ヶ谷姉に肉を分けてあげた。
「ありがとうごさいます!」
「若いっていいね」
十歳と違いはないだろうが、オレもこの年代は結構食っていた気がする。いつ頃からだろうな? そんなに食えなくなったのは? 人間、年齢と病気には勝てないものだ。
「了は少食ね」
うん。あなたが大食いで大酒飲みなだけだよ。
「ルーシャは足りる? 足りないなら追加するよ」
「じゃあ、お酒をお代わりで」
料理のことを言ったんだけどな。まあ、好きなだけ飲めばいいさ。旅館にはいい客と思って欲しいからな。
「ハー! 食べた食べた。もう入らないよ」
「まったく、あんたは。二十二にもなっても子供なんだから」
「いいじゃない。こんな幸運、滅多にないんだからさ」
「すみません、道端さん」
「構いませんよ。女性の味方は欲しいですからね。男のオレではわからないこともあるんで。服とか持ちものとかの相談をお願いします」
「あ、ブランドを立ち上げた知り合いがいるので任せてください。専属モデルになってくれるなら報酬も出るよう交渉しますよ」
出版社に働いているからか、矢代さんの交友関係は広そうだな。
「そのときあたしが付き合いますよ! 誰かいたほうがいいでしょう? ついでに付き人的な感じで雇ってもらえたらありがたいです」
「あんたはどこまで図々しいのよ。まともに就職しなさいよ」
「おねーちゃんも無職でしょう。なんなら新たなスタジオとか設立して、ルーシャさんにモデルになってもらえばいいんじゃない? 矢代さんの知り合いのブランドの宣伝にもなるしさ」
若い人探す発想は凄いものだ。よくもまあそんなポンポンと出るものだ。
「お、それいいですね! ルーシャさんを囲うところがあるならわたしもやりやすいです。この美貌だといろいろちょっかいをかけてくるのもいそうですからね。もしよかったら道端さんが代表になってスタジオを経営する。それなら阿佐ヶ谷さんも助かるんじゃないですか? 撮影しながら会社の面倒事をこなすの大変ですしね」
なんか流れがとんでもないところに向かってないか? 代表って社長だろう? 社長ってなにしたらいいんだ?
「それ、いいですね!」
なんか阿佐ヶ谷姉が乗り気だ。いや、そんな簡単に決めていいことでないでしょう!
阿佐ヶ谷妹がテーブルに並べられた料理に大興奮。姉にはしたないと怒られた。
「待って。ルーシャさん。そこに座って一枚撮らして」
常にカメラマンな阿佐ヶ谷姉。忙しない人だよ……。
一枚どころか百枚は撮っただろうか。満足してやっと席に座れた。
今日は団体客はおらず、キャンセルした人のお陰で中広間(個室)なので他のお客に迷惑をかけることはない。
「ルーシャ。お酒はどうする? 頼めるけど」
「飲みたい。お風呂上がり、我慢してたから」
じゃあ、まずはビールか。
「矢代さんもまずはビールでいい? 璃子さんは?」
姉の実子さんは飲まないとか言ってたしな。
「飲みます!」
ってことでビールは三つ。オレと実子さんはソフトドリンクとする。
「了さんは、飲めないんですか?」
「飲めるけど、そんなに飲めるほうじゃないんですよ。仕事帰りに缶ビールを一缶飲むくらいですね。一年前からは飲んでなかったので耐性がなくなりました」
元気になったんだからいろいろ飲んでみたいが、まだ体が慣れていない。今は少しずつ慣らしている段階だ。
ビールやソフトドリンクが運ばれてきて乾杯する。
「乾杯なんて久しぶりだな」
仕事が忙しくて飲み会もなかった。ほんと、いつ以来だろうな?
「女性に囲まれて幸せですね」
茶化すように隣にいる阿佐ヶ谷姉から肘打ちされてしまった。
「あはは。そうだね。役得だ」
別にそこまでウブではないが、考えてみれば女性に囲まれている状況だわな。皆浴衣姿で、外から見たら羨ましがれるだろうよ。
まあ、正直そこまで嬉しいかと言われたらそこまででもないか。一癖も二癖もあるような人ばかりだからな。純粋に喜べない自分がいるよ。
「こんな豪華な料理、久しぶりだわ~」
「わたしも。去年振りかな?」
「大人はいいな~。あたしなんて小学生以来だよ」
オレはいつ以来だろう? 幼稚園とか小学校低学年か以来か? 昔すぎてどこだったかもわからんよ。
「いいものね。たくさんで食べる食卓も」
ルーシャは長いこと一人で旅をしており、二人で食べるのもいつ以来かわからないって言ってたっけ。
「そうだな。家族旅行に来たみたいだよ」
家族旅行ってより兄弟旅行か? てか、オレが一番年上になるのか? ルーシャは別として、だけど。
「了。そろそろ日本酒が飲みたいわ」
そろそろもなにもビール飲んだばかりだよね。まあ、それも慣れたけど。
タブレット注文なので純米大吟醸酒セットってのを二人分頼んだ。阿佐ヶ谷妹は食べるのに必死のようだから。
「くぅ~。旅館で飲む酒は美味い!」
「矢代さん。ほどほどですよ。あなたそんなに強くないんだから」
また帰れなくなるよ。車だって道の駅に置いて来ちゃったんだから。また売店でお金を落とさせていただきます。
「わかってますって。安心してくださいな」
安心出来るペースじゃないんだよな~。
「璃子さん。これもどうぞ」
まだ胃袋が小さいので半分くらいで腹が膨れてしまった。まだ若い阿佐ヶ谷姉に肉を分けてあげた。
「ありがとうごさいます!」
「若いっていいね」
十歳と違いはないだろうが、オレもこの年代は結構食っていた気がする。いつ頃からだろうな? そんなに食えなくなったのは? 人間、年齢と病気には勝てないものだ。
「了は少食ね」
うん。あなたが大食いで大酒飲みなだけだよ。
「ルーシャは足りる? 足りないなら追加するよ」
「じゃあ、お酒をお代わりで」
料理のことを言ったんだけどな。まあ、好きなだけ飲めばいいさ。旅館にはいい客と思って欲しいからな。
「ハー! 食べた食べた。もう入らないよ」
「まったく、あんたは。二十二にもなっても子供なんだから」
「いいじゃない。こんな幸運、滅多にないんだからさ」
「すみません、道端さん」
「構いませんよ。女性の味方は欲しいですからね。男のオレではわからないこともあるんで。服とか持ちものとかの相談をお願いします」
「あ、ブランドを立ち上げた知り合いがいるので任せてください。専属モデルになってくれるなら報酬も出るよう交渉しますよ」
出版社に働いているからか、矢代さんの交友関係は広そうだな。
「そのときあたしが付き合いますよ! 誰かいたほうがいいでしょう? ついでに付き人的な感じで雇ってもらえたらありがたいです」
「あんたはどこまで図々しいのよ。まともに就職しなさいよ」
「おねーちゃんも無職でしょう。なんなら新たなスタジオとか設立して、ルーシャさんにモデルになってもらえばいいんじゃない? 矢代さんの知り合いのブランドの宣伝にもなるしさ」
若い人探す発想は凄いものだ。よくもまあそんなポンポンと出るものだ。
「お、それいいですね! ルーシャさんを囲うところがあるならわたしもやりやすいです。この美貌だといろいろちょっかいをかけてくるのもいそうですからね。もしよかったら道端さんが代表になってスタジオを経営する。それなら阿佐ヶ谷さんも助かるんじゃないですか? 撮影しながら会社の面倒事をこなすの大変ですしね」
なんか流れがとんでもないところに向かってないか? 代表って社長だろう? 社長ってなにしたらいいんだ?
「それ、いいですね!」
なんか阿佐ヶ谷姉が乗り気だ。いや、そんな簡単に決めていいことでないでしょう!


