「ひいらぎ、ひいらぎ。……ひいちゃん!!」

「……えっ?」

「大丈夫……?」

 心配した母の顔が、俯いた私の顔を覗き込んでいた。

「……んー、大丈夫……かな?」

 そう言って、母に、にこり、笑って返事をする。

「大丈夫じゃないじゃないの……?」

 だって……。

 そう続けた母は、私の頬を掴み、軽く頬をなでてくれて。

「あなた、泣いてるじゃない」

「…………え?」

 母がなでてくれたところは、体積が減ったからか。涼しくなって、冷たいと感じるようになって。
 自分の反対の頬を触って、涙が流れていたことに今、気付いた。



 ここは葬式場。春野ケイの通夜を、終わらせたところだった。



「うわあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁああああああああッッッッッッ!!!」