夏休み明け教室に着くと同時に担任が来てHRが始まった。
「えー…今日は転入生を紹介します。入って来い」
ガラッと扉が開くとスタイルのいい女の子が入って来た。
「初めまして、波橋 菜々美と言います。よろしくお願いします」
「じゃあ、窓際の一番後ろ空いてるからそこに座って」
「はい」
この女の子の転入生が私の学生生活を大きく揺るがすことになろうとは……



「奈々美ちゃ〜ん!」
「奈々美ちゃ〜ん♡」
「ん〜?なぁに?」
この波橋 菜々美が来てからこのクラスの男子たちは波橋 菜々美にイチコロになり私は気付けば孤立していた。



私は今日もお昼を1人中庭で過ごす。
そんな中、大樹にもたれかかる天堂くんを見つけた。
天堂くんは頭にヘッドホンを付けて音楽を流し、飴を舐め始めた。
私も少し離れた所に座り、お弁当を広げ、食べ始めた。



「おーい!昴ー」
「何?星矢」
「ったくー、こんな所に居たのかよー」
「うん、あったかいよ」
「……はいはい」
鬼紅くんが天堂くんの隣に座る。
「あーん」
待ってましたと言わんばかりに口を開けている。
「はい、あーん」




事件が起きたのはその後だった。
昼休みも終わり教室に戻ると波橋さんが波橋くんのほっぺにキスをしていた。
周りがブーイングの嵐を起こす中、私はひたすらスマホを弄って時間が経つのを待った。