夏休みに入り私はお母さんにおつかいを頼まれ近所のスーパーに来て居た。
「あ、鬼紅くん」
「中本、お前も買い物か?」
「うん、鬼紅くんも?」
「おうよ、おつかい頼まれちまってよ」
「そうなんだ、私も同じだよ」
「そうなんだな。……近所に住んでたのか俺ら」
「そうみたいだね。じゃあ、天堂くんも近くに住んでるんだ?」
「おう、隣りだな」
「隣り!?近いね?!」
「じゃねぇとお迎えなんか行かねぇよ。おっと、じゃ俺は醤油も頼まれてるからそこ曲がるぜ」
手を振る鬼紅くんに手を振り返し、私も自分の買い物を再開する。


買い物を終えてスーパーを出ると駐輪場で自転車の準備をする鬼紅くんと再会した。
「お、また会ったな」
「また会ったね」
「もう遅せぇし、送ってくぜ?」
「うんん、大丈夫」
「そうか?それじゃあな」
「じゃあね」



家に帰ると
「おかえり、凛」
「ただいま」
お母さんが珍しく手料理を作りながら私を出迎えた。
「今日は凛の好きなカレーよ♪」
「……わ、わー…珍しいね、何かあったの?」
「お父さんとね、離婚したの」
「離婚…そっか」
「驚かないの?」
「仲悪かったじゃん、驚かないよ」
流れるようにふたりでキッチンにならんで私は人参をピーラーで剥き、お母さんはじゃがいもを剥き、芽を取り除く。
「正直、心配してたの…凛昔はお父さんに懐いてたし」
「そんなこと気にしなくていいのに」
「もう、仲が悪かっまとはいえ、家族だったじゃない」
「でも、お父さんは結局、ちゃんとした娘が欲しかっただけだったんだよ。だから私には関わらなくなった」
「そうね…ごめんね、お母さんがこんなんで」
「…別にお母さんのせいじゃないよ」
「…凛…」
「離婚おめでとう、お母さん」
「ありがとう」
ふたりで暫くハグをして
その後はカレーを食べた。