高二の九月の風が校舎のガラス窓を軽く叩く中、おれはまだ半分夢の中にいた。眠気が込み上げてきて「ふわぁ」と一欠伸する。
青空に、少しだけかかるうろこ雲の下に、たくさんのコスモスが咲いている。
窓の近くの席でよかったわ本当に。花壇の植物が見れるとか最高以外の何者でもない。
「おーい! 桜河! おーうかわぁぁ!」
……ん?
机に伏せて窓の外を見つめていると、誰かに耳元で叫ばれた。
……耳元で叫ばないでほしい、という言葉を呑み込んで顔を上げると、学級委員長が険しい顔をしながらおれを見ている。
「ほら! 桜河もなんか案出して! 文化祭で出すもの!」
「はぁ?」
学級委員長は黒板を指しながらおれに言う。どうやら文化祭で出すものをホームルームで話し合っていたらしい。まぁ、寝てたから、おれは聞いてなかったんだけど。
「んー」
クラスのやつらはじっとおれを見つめている。
……まぁてきとうに。
「メイド喫茶とかでいいんじゃね?」
冗談混じりで言った言葉だったのに、委員長は目を見開いて、クラスのやつらはなぜか乗り気だ。
「というわけで、うちのクラスの出し物はメイドカフェで決定〜」
クラスが盛り上がってる中、またおれは窓の外に目をやった。
文化祭か……。まぁおれは多分行かないだろう。
でも、ここ私立蓮水学園は全寮制で仮病がバレたら、終わりだから実家にでも帰って……。
「もちろん桜河もメイドやってくれるよね?」
「……は?」
いきなり女子たちがおれの周りに群がって、ニヤニヤしながら見つめられる。
……意味わかんねぇ。
「だってぇ、発案桜河だしいいでしょ?」
「案外似合うかもよ〜?」
「……はぁ、?」
「嫌だって言ってないなら良いってことでいいねー」
「ちょ、ま!」
くすくすと笑いながら女子たちは教室を出ていった。
……何考えてんの? おれがやったって一ミリたりとも面白くねぇじゃん。いや、逆にうけるのか……? いやでも、流石におれは……。
「はぁ……めんどくせ」
また机に頭を乗せて窓を見つめる。
文化祭休めねぇじゃん。がっかりして肩を落とし、教室を出ようと荷物を持った。
「桜河蒼空、だよね」
「……え?」
寮に入る寸前で、誰かに名前を呼ばれた。
……気のせい、だよ、な? 一応確認のため、振り返る。
「……は? なんだよ……!」
おれが振り向くよりも先に、腕を捕まれ、強引に連れていかれる。
……いや、意味わかんねぇし……。
抵抗するにもこんな弱くて小さい体じゃ腕を振りほどくことでさえ出来なかった。
……あぁくそ! 引っ張られるがまま、ついて行く。
「……なんでおれ、生徒会室にいんの?」
目の前には磨かれた長テーブル。壁にはびっしりファイルが整列され、空気がほんの少しだけピリッとしている。
そして、長テーブルの横の席に座らさせられているおれ。
……どういう状況?
「推薦したの俺だよ。相変わらず蒼空はすぐひとに騙されるねぇ」
声の主に振り向くと、完璧すぎる笑顔を浮かべた少年──幼なじみの加賀美紫耀が立っていた。
……いつもいつも一言余計でムカつくやつ。まぁでも、嫌いではねぇ。生粋のお人好しだし、なんだかんだ言ってずっとおれに付きまとってる。
「連れてきてくれてありがとね」
おれを連れ出してきた生徒会役員の方をみて微笑んだ紫耀。
紫耀は二年にして生徒会長で、理事長の息子。成績優秀、スポーツ万能、それに加えて誰もが見惚れる容姿。おれとは住む世界が違う、って今はそれどころじゃなくて。
「いやいやいやいや! なんでおれ!? 推薦された覚えないし」
慌てて立ち上がるおれに、紫耀は涼しい顔で言った。
「俺の推薦は、強制力あるからね」
「は?」
机の上に、ひらりと置かれた一枚のプリント。それは推薦書で、そこには大きくおれの名前が書いてある。どうやら先生に頼まれて推薦したらしい。
いやバカだな。バカにも程があるだろ。
「ね、蒼空。これから毎日一緒に活動できるの、楽しみだよ」
いつもの王子様スマイルを見せた彼。
……こいつまじかよ……。おれを推薦するなんて頭おかしいって。紫耀は昔からヘラヘラしていて、おれはそれに巻き込まれる。
なんでこいつが異常にモテるのかは未だにわからない。
「なんでおれなんだよ……運動も勉強も普通以下だぞおれ」
おれはただの平凡な男子高校生。紫耀みたいに顔もよくねぇし、なんでも出来るわけじゃねぇ。それに、性格も性格で悪いかもしれねぇのだ。紫耀なんかおれのことをまだ子供としか思ってない。
「まぁね……でも信頼できる人って欄に蒼空の顔が浮かんだんだよ。それに、俺には蒼空しかいないから。ね? 理由なんて十分でしょ?」
そう言って見せた笑顔は、かつて幼稚園で一緒に泥団子を作っていたあの頃の紫耀のままだった。
……何言ってんだこいつ。紫耀はモテるんだし、おれ以外にも信頼できるやついっぱいいるだろ。
「全然十分じゃねぇよ……!」
「それにさ、今年クラス離れちゃって寂しかったんだよ……」
叫びながらおれに抱きついてくる。
こいつ、いつものキャラはどうした。
今更言うことかよ。もう九月だぞ……。
「……はぁ、おれ平凡に学校生活送りたいだけなのに」
「まぁまぁ、これから副会長としてよろしくね!」
「……は?」
おれの話も聞かずに、彼はムカつく笑顔を浮かべて仕事に戻った。
……いやいやいや、は? 副会長って、確かもういるだろ……。
ポカンと口を開けている中、他の役員はテキパキと仕事をこなしている。というか、おれもう帰っていいよな?
邪魔しないようにと、そろりと生徒会室を出ようとす る。
「あ、そうだ蒼空。明日から生徒会寮だから引っ越しの準備しといてねぇ〜」
背後から紫耀のヘラヘラした声が聞こえる。そして、肩に手を置かれ「一緒に行こう」と腕を引っ張られた。
……何が準備しといてねぇ〜だよ。
いつもと何も変わらねぇ紫耀に疲れるが、まぁ別に良いかと思ってしまう自分に呆れる。
ここの学校の寮は、大きく三つにわけられる。
生徒会本部が暮らす生徒会寮、特待生やお偉いさん、たくさんの寄付金を出している人が暮らすVIP寮。そして、おれたち平凡学生が暮らす一般寮。
昨日までのおれは平凡に、地味に生きてきたけど……今日から生徒会寮に引っ越すことになった。
別に、一般寮のままでもよかったけど、すぐに生徒会室に向かえる隠し扉があるから、生徒会寮じゃないとダメなんだと。
生徒会寮なんて、初めて聞いたし。
あと一年と半年後には卒業するっていうのに正直、めんどくせぇ。引っ越してもあんま意味ねぇ気がすんだけどな。ただでさえ、生徒会に昨日入会させられたばかりなのに、荷造りもして、その上移動もしなきゃなんねぇなんて。男子一般寮は、生徒会寮から一番遠いんだよ。紫耀のやつ、責任取ってくれよな。
「はぁ……」
昨日からため息しすぎておれの体から酸素なくなるかも。……あ、吐いてるのは二酸化炭素だったわ。
──新しい寮の部屋は、紫耀が好きな白を基調とした静かな空間だった。
個室。ベッド、机、本棚、クローゼット。それに、前よりでかいキッチンに、でかいベッド。
前の一般寮より全然広く、整った空気が流れている。まるで、どこかのホテルのようで一般寮とはほとんど違う。
まぁ、それはいいとして──
「なんで紫耀の隣の部屋なんだよ……」
おれは荷解きをしながら、昨日今日で何度目かわからないため息をついた。
隣から聞こえる何かの音。きっと紫耀の部屋からだろう。
真面目にどうにかしてほしい。紫耀の隣とかろくなことにならねぇって。
──それは昨日、生徒会入会を強引に決められた数時間後、おれが荷造りをしていたときのこと。紫耀に案内された生徒会寮の一角で言われた。
『空いてる部屋、俺の隣しかなかったなかったんだよねぇ。……ふふっ、楽しみだなぁ』
その顔には、微塵も謝る気配も、申し訳なさのもの字もない。こいつ……いい加減にしねぇとぶん殴るぞ?
紫耀の顔はむしろどこか、嬉しそうだった。ずりぃくらいに。
どうせ、勝手におれの隣が良いって、先生たちに吹き込んだんだろ。言われなくてもわかる。紫耀は昔からそういうやつだ。
そんな彼に呆れながらも、いつものことか、とさらっと流してしまうのがおれの悪いくせだ。前に、紫耀を甘やかしすぎとも言われたこともあったっけ。
「……別に良いんだけどさ」
荷解きをしながら、ひとりの部屋で独り言を呟く。
出た、「別に良い」おれの一番の口癖。めんどうなことになりたくなくて、人に合わせてしまう悪い癖。
「最悪……文化祭の準備あるじゃねぇか……」
……まじで、今日休みでよかったわ。
学校ある日に荷解きとか、最悪だからな。まぁ休みの日の前日に誘われた……入らせられたことは、ちょっと感謝しよう。その代わりに、文化祭という大イベントを目の前にしているが。
あ……明日なんか……朝礼であいさつしねぇといけねぇとかなんとか……。
だりぃ……。こんな地味なやつみても面白いか?
生徒会って確か美人ばかりで、いつもキャーキャー騒がれているイメージがある。
そんな中に、おれがいていいはずがねぇ気がする……。
どうせおれは地味ですよー。
不安でしかない生徒会入会。だけど紫耀がいるからなのか、少しは心が軽くなっていることに気づいた。
青空に、少しだけかかるうろこ雲の下に、たくさんのコスモスが咲いている。
窓の近くの席でよかったわ本当に。花壇の植物が見れるとか最高以外の何者でもない。
「おーい! 桜河! おーうかわぁぁ!」
……ん?
机に伏せて窓の外を見つめていると、誰かに耳元で叫ばれた。
……耳元で叫ばないでほしい、という言葉を呑み込んで顔を上げると、学級委員長が険しい顔をしながらおれを見ている。
「ほら! 桜河もなんか案出して! 文化祭で出すもの!」
「はぁ?」
学級委員長は黒板を指しながらおれに言う。どうやら文化祭で出すものをホームルームで話し合っていたらしい。まぁ、寝てたから、おれは聞いてなかったんだけど。
「んー」
クラスのやつらはじっとおれを見つめている。
……まぁてきとうに。
「メイド喫茶とかでいいんじゃね?」
冗談混じりで言った言葉だったのに、委員長は目を見開いて、クラスのやつらはなぜか乗り気だ。
「というわけで、うちのクラスの出し物はメイドカフェで決定〜」
クラスが盛り上がってる中、またおれは窓の外に目をやった。
文化祭か……。まぁおれは多分行かないだろう。
でも、ここ私立蓮水学園は全寮制で仮病がバレたら、終わりだから実家にでも帰って……。
「もちろん桜河もメイドやってくれるよね?」
「……は?」
いきなり女子たちがおれの周りに群がって、ニヤニヤしながら見つめられる。
……意味わかんねぇ。
「だってぇ、発案桜河だしいいでしょ?」
「案外似合うかもよ〜?」
「……はぁ、?」
「嫌だって言ってないなら良いってことでいいねー」
「ちょ、ま!」
くすくすと笑いながら女子たちは教室を出ていった。
……何考えてんの? おれがやったって一ミリたりとも面白くねぇじゃん。いや、逆にうけるのか……? いやでも、流石におれは……。
「はぁ……めんどくせ」
また机に頭を乗せて窓を見つめる。
文化祭休めねぇじゃん。がっかりして肩を落とし、教室を出ようと荷物を持った。
「桜河蒼空、だよね」
「……え?」
寮に入る寸前で、誰かに名前を呼ばれた。
……気のせい、だよ、な? 一応確認のため、振り返る。
「……は? なんだよ……!」
おれが振り向くよりも先に、腕を捕まれ、強引に連れていかれる。
……いや、意味わかんねぇし……。
抵抗するにもこんな弱くて小さい体じゃ腕を振りほどくことでさえ出来なかった。
……あぁくそ! 引っ張られるがまま、ついて行く。
「……なんでおれ、生徒会室にいんの?」
目の前には磨かれた長テーブル。壁にはびっしりファイルが整列され、空気がほんの少しだけピリッとしている。
そして、長テーブルの横の席に座らさせられているおれ。
……どういう状況?
「推薦したの俺だよ。相変わらず蒼空はすぐひとに騙されるねぇ」
声の主に振り向くと、完璧すぎる笑顔を浮かべた少年──幼なじみの加賀美紫耀が立っていた。
……いつもいつも一言余計でムカつくやつ。まぁでも、嫌いではねぇ。生粋のお人好しだし、なんだかんだ言ってずっとおれに付きまとってる。
「連れてきてくれてありがとね」
おれを連れ出してきた生徒会役員の方をみて微笑んだ紫耀。
紫耀は二年にして生徒会長で、理事長の息子。成績優秀、スポーツ万能、それに加えて誰もが見惚れる容姿。おれとは住む世界が違う、って今はそれどころじゃなくて。
「いやいやいやいや! なんでおれ!? 推薦された覚えないし」
慌てて立ち上がるおれに、紫耀は涼しい顔で言った。
「俺の推薦は、強制力あるからね」
「は?」
机の上に、ひらりと置かれた一枚のプリント。それは推薦書で、そこには大きくおれの名前が書いてある。どうやら先生に頼まれて推薦したらしい。
いやバカだな。バカにも程があるだろ。
「ね、蒼空。これから毎日一緒に活動できるの、楽しみだよ」
いつもの王子様スマイルを見せた彼。
……こいつまじかよ……。おれを推薦するなんて頭おかしいって。紫耀は昔からヘラヘラしていて、おれはそれに巻き込まれる。
なんでこいつが異常にモテるのかは未だにわからない。
「なんでおれなんだよ……運動も勉強も普通以下だぞおれ」
おれはただの平凡な男子高校生。紫耀みたいに顔もよくねぇし、なんでも出来るわけじゃねぇ。それに、性格も性格で悪いかもしれねぇのだ。紫耀なんかおれのことをまだ子供としか思ってない。
「まぁね……でも信頼できる人って欄に蒼空の顔が浮かんだんだよ。それに、俺には蒼空しかいないから。ね? 理由なんて十分でしょ?」
そう言って見せた笑顔は、かつて幼稚園で一緒に泥団子を作っていたあの頃の紫耀のままだった。
……何言ってんだこいつ。紫耀はモテるんだし、おれ以外にも信頼できるやついっぱいいるだろ。
「全然十分じゃねぇよ……!」
「それにさ、今年クラス離れちゃって寂しかったんだよ……」
叫びながらおれに抱きついてくる。
こいつ、いつものキャラはどうした。
今更言うことかよ。もう九月だぞ……。
「……はぁ、おれ平凡に学校生活送りたいだけなのに」
「まぁまぁ、これから副会長としてよろしくね!」
「……は?」
おれの話も聞かずに、彼はムカつく笑顔を浮かべて仕事に戻った。
……いやいやいや、は? 副会長って、確かもういるだろ……。
ポカンと口を開けている中、他の役員はテキパキと仕事をこなしている。というか、おれもう帰っていいよな?
邪魔しないようにと、そろりと生徒会室を出ようとす る。
「あ、そうだ蒼空。明日から生徒会寮だから引っ越しの準備しといてねぇ〜」
背後から紫耀のヘラヘラした声が聞こえる。そして、肩に手を置かれ「一緒に行こう」と腕を引っ張られた。
……何が準備しといてねぇ〜だよ。
いつもと何も変わらねぇ紫耀に疲れるが、まぁ別に良いかと思ってしまう自分に呆れる。
ここの学校の寮は、大きく三つにわけられる。
生徒会本部が暮らす生徒会寮、特待生やお偉いさん、たくさんの寄付金を出している人が暮らすVIP寮。そして、おれたち平凡学生が暮らす一般寮。
昨日までのおれは平凡に、地味に生きてきたけど……今日から生徒会寮に引っ越すことになった。
別に、一般寮のままでもよかったけど、すぐに生徒会室に向かえる隠し扉があるから、生徒会寮じゃないとダメなんだと。
生徒会寮なんて、初めて聞いたし。
あと一年と半年後には卒業するっていうのに正直、めんどくせぇ。引っ越してもあんま意味ねぇ気がすんだけどな。ただでさえ、生徒会に昨日入会させられたばかりなのに、荷造りもして、その上移動もしなきゃなんねぇなんて。男子一般寮は、生徒会寮から一番遠いんだよ。紫耀のやつ、責任取ってくれよな。
「はぁ……」
昨日からため息しすぎておれの体から酸素なくなるかも。……あ、吐いてるのは二酸化炭素だったわ。
──新しい寮の部屋は、紫耀が好きな白を基調とした静かな空間だった。
個室。ベッド、机、本棚、クローゼット。それに、前よりでかいキッチンに、でかいベッド。
前の一般寮より全然広く、整った空気が流れている。まるで、どこかのホテルのようで一般寮とはほとんど違う。
まぁ、それはいいとして──
「なんで紫耀の隣の部屋なんだよ……」
おれは荷解きをしながら、昨日今日で何度目かわからないため息をついた。
隣から聞こえる何かの音。きっと紫耀の部屋からだろう。
真面目にどうにかしてほしい。紫耀の隣とかろくなことにならねぇって。
──それは昨日、生徒会入会を強引に決められた数時間後、おれが荷造りをしていたときのこと。紫耀に案内された生徒会寮の一角で言われた。
『空いてる部屋、俺の隣しかなかったなかったんだよねぇ。……ふふっ、楽しみだなぁ』
その顔には、微塵も謝る気配も、申し訳なさのもの字もない。こいつ……いい加減にしねぇとぶん殴るぞ?
紫耀の顔はむしろどこか、嬉しそうだった。ずりぃくらいに。
どうせ、勝手におれの隣が良いって、先生たちに吹き込んだんだろ。言われなくてもわかる。紫耀は昔からそういうやつだ。
そんな彼に呆れながらも、いつものことか、とさらっと流してしまうのがおれの悪いくせだ。前に、紫耀を甘やかしすぎとも言われたこともあったっけ。
「……別に良いんだけどさ」
荷解きをしながら、ひとりの部屋で独り言を呟く。
出た、「別に良い」おれの一番の口癖。めんどうなことになりたくなくて、人に合わせてしまう悪い癖。
「最悪……文化祭の準備あるじゃねぇか……」
……まじで、今日休みでよかったわ。
学校ある日に荷解きとか、最悪だからな。まぁ休みの日の前日に誘われた……入らせられたことは、ちょっと感謝しよう。その代わりに、文化祭という大イベントを目の前にしているが。
あ……明日なんか……朝礼であいさつしねぇといけねぇとかなんとか……。
だりぃ……。こんな地味なやつみても面白いか?
生徒会って確か美人ばかりで、いつもキャーキャー騒がれているイメージがある。
そんな中に、おれがいていいはずがねぇ気がする……。
どうせおれは地味ですよー。
不安でしかない生徒会入会。だけど紫耀がいるからなのか、少しは心が軽くなっていることに気づいた。
