作品にはヒーローが存在する。
 もしも彼女の隣にいて背中を向けて守る存在がいるのなら私だ、と言いたい。
 必ずしも男でなければならない理由なんてものはなく、女だってヒーローになれるもの。
 最近の特撮なんかは女性が変身することもしばしば。
 人々を守るヒーローまでは行かなくとも、たった一人大切な人を守るくらい私にはできる。
 長野をいじめから守るそれは私にできる唯一のことだと思う。
 女子同士ずっと仲がいい。
 彼女は友達である私を求めてる。
 私の気持ちは知らずとも友達の関係を続けていればいい。
 心のどこかにそれは嫌だという自分もいるのだけれど、それは自分勝手で相手の気持ちを思いやれないだけ。
 他の人とは違う。
 友達でいいのだと私は言い聞かせる。
 制服を着て、荷物を背負う。塾用の教材もあるがためにいつだって荷物は重かった。
 自転車を漕いでいつも通り長野の歩く後ろ姿を見て微笑む。
 彼女がいれば私は良かった。
 いつまでも楽しい時間を過ごせればいい。
「おはよ!」
 彼女はいつものように驚いて、おはよと返してくれる。
 自転車から降りて、昨日の塾の話なんかをする。
「で、また川鳥がふざけるわけ!最低じゃない?ようやく解けたと思った問いの答え全部忘れちゃってやり直し!」
 川鳥とは一つ目の塾が一緒で塾のある日は毎日会う。
 いつもの笑顔で聞いてくれる彼女は塾に通っていない。
 誘ってみたけれど、やんわり断られた。
 塾に行かなくても頭がいい子には敵わないなといつも思う。それは上山に対しても同様だ。この二人は塾に通ってない。
 上山は学校の教材だけでテストは乗り切れるものじゃんと悪意なくいう。
 要領の良さが出ている。
 メガネ女子の大半はこんなものなのだろうかとたまに思う。
「あぁ、ほんと、川鳥のやつ焼き鳥にしてやりたい」
 彼のいない場での悪口だった。
 変な苗字していると思うのと同時に扱いやすいキャラのおかげで長野でさえ川鳥がふざけ出すと叩いていたりする。
 理不尽が似合う男。
「ほんと怖いこと言うよね」
「ね、そういえば、曽我に告白したんでしょ?どうして?」
 どうして?と聞いたのは、長野に好きな人がいると言うことを知らなかったから。
 友達なのだから少しくらい教えて欲しいと思っていたけれど、彼女は教えてくれなかった。
 告白した原因は知っている。
 笹井と相川のいじめっ子が長野に執拗に曽我との関係を問うたから。
『ほんとに好き同士じゃないなら説得できる証拠持ってきてよ。あ、そうだ、告白しなよ。好き同士じゃないんでしょ?』
 いじめなんてものはほんと些細なことで起きてしまう。
 彼女がいじめられることはないと思うけれど、そうなってしまっては私が嫌だ。
 その場を収めたのも私。
『曽我にそんな気持ちがあるならとっくに告白してるじゃん』
 なんて言って、説得を試みたけれど、私は蚊帳の外。外野は黙れと睨まれるだけ。
 曽我と長野は幼馴染で恋愛感情はお互いにないと長野の口から聞いていたし、今もなお関係は変わっていない。けれど、彼女は告白をした。
 どうして……。それでは振られたことが嘘だと思われて余計にいじめの原因になってしまうかもしれないと言うのに。
「あの二人が納得してくれると思ってさ」
 笹井と相川のことだ。
 告白しただけでいじめの的から外れるわけがない。
 浅はかな考えで言った言葉じゃないと気づいていないのだろうか。
「好きじゃないのに、告白したの?」
「うーん……。それはちょっと違うかな」
「違う?」
「好きだったのかもしれないね、私」
「……え」
「なんてね」
 拳でぐりぐりと私の頭を痛めつける。
 冗談だったらしいことに気づく。
 彼女はいつも冗談や嘘に騙された時にこんなことをする。
 私にしかしてこないことだからなんだか嬉しいと思う自分がいる。
 川鳥も彼女に叩かれたりしている。あいつさえいなければと嫉妬する。あいつは敵だ。理不尽な目に遭って仕舞えばいいんだ。
 ワイワイと学校に向かう。
 そんな時間が好きだった。
 教室に入ると川鳥が男女関係なくべちゃくちゃと騒いでいる。
 ああいう人当たりよくて話しやすいから長野も気を許すんだろうかと思う。
 修学旅行のグループが私たちじゃなくても普通に楽しめそう。
 彼が私たちと同じグループになったのは、長野が好きだからという理由だけ。
 一度告白して振られて、ショックを受けていた時の彼は酷かった。
 誰も手のつけようがなくて、心配しているみんなをよそに授業中も涙目だった。
 今はもうこんなにも回復している。
 振られたことが嘘のよう。
 けれど、私は知っている。
 彼がまだ諦めていないこと、振られたことを引きずっていること。
 空元気にいつも通りを演じているのかもしれない。
 可愛い男だ。
 そんな彼が、チャイムを機に席に向かう刹那、空っぽの表情が見てとれた。
 やっぱりまだ立ち直れていない様子。
 彼が一人になったころに声をかけた。
「よ」
 席の前でしゃがむ。
「……。なんだお前かよ。帰れ」
 腕を小突くとなに?と聞いてくる。
「長野、曽我に告白したってね」
「知ってる」
「およ?」
 可愛い子ぶってみると彼は露骨に嫌な態度をとった。彼はどうやら告白していたことを知っているらしい。
 ならば、いつ誰から聞いたのだろう。私以外誰も知らないと思っていたのに。
 私がどれだけあんたの恋愛相談に乗ってきたと思っているんだともう一度小突く。
「聞いたよ」
「誰から?」
「誰って……、直接」
「直接?長野が?」
「いや、会話を直接聞いた」
「……会話を!?」
「だから二人とも距離離れてるんだろ?知ってるよそれくらい」
「え、でもさ、付き合える可能性グッと上がったじゃん」
 彼は、曽我がいるから付き合えないなんて言っていたけれど、そんな彼が振ったのだから他に候補になる男子はいない。
 それでも目の前の彼は喜ばなかった。
 何か気になる事でもあるのだろうか。
「どうかしたの?」
 これまで相談に乗ってきたのだ。質問くらい答えてもらおう。自然な笑顔を向けて言葉を待つ。
「幼馴染ってなんなんだろうな」
「……幼馴染」
 意外にも答えてくれた。小突かれるのが嫌になったのだろうか。
 好きでもない私の拳はいらないと言うことか。
「多分だけど、曽我は腐れ縁なんて言って幼馴染って言葉を使いたくなかっただけで、恋人以上の何かに思ってたんじゃないかな」
「恋人の上位互換?」
「ニュアンスとして」
 一方で。
「長野は、普通に幼馴染だと思ってた。恋心もないし、友達でもない。だけど、気が合うから話してたのかなって」
 彼の考えにすぐ首肯できない。
 二人がお互いにどう思っていたのかまで私にはわからない。
 少なくとも長野が曽我を好きだという感情はこれまでなかったと言うことだけ。
 そう考えているから、川鳥の言葉に納得いく部分はある。
 でも。
「気が合う関係かどうかまではわからなくない?」
 気が合わないけれど、幼少期から一緒となれば必然的に会話する機会ができる。
 嫌な思いをしても家が近ければボランティアなんかで一緒になることもあるだろう。
 その場で会えば、とりあえず体裁として仲良くすることもあるはず。
「そこは、憶測だけど」
「なんでそんなに二人の関係を気にするの?」
 思い切って踏み込んだ。
 私には曽我と長野の関係なんてただの幼馴染くらいにしか思わない。
 モヤっとする感情が彼の中にあるのなら、一番距離の近い私がそれとなく聞ける。
 川鳥にとって最悪な回答ならば答えなければいい。
「二人ってさ、仲良い以前に付き合ってた可能性ないの?」
「……へ?」
 いやいや、付き合っていたのならあんな空気感にはならないでしょ、と言ってしまいそうな口を閉じる。
 それだけ親密だと川鳥が思っていたのだ。
 川鳥の意見を一概に否定できないのは、彼が人の気持ちに敏感で繊細な部分まで気づけるところにある。
 以前、私だって彼に助けてもらった。
 塾を三つ目増やそうと親が言い出した時、イライラをぶつけた相手が川鳥だ。
 彼は普通の顔して断ればと、いう。
 無理やり行かされるかもしれないといえば、無理させた結果未来永劫再起できなくてもいいんだなって脅せばと告げた。
 両親に嫌われたくない気持ちもまたそこには含まれていた。心配させたり、悲しませたりするのが嫌だと彼は気づいている様子だった。
 一度くらいキッパリ言ったって問題ないよという彼の表情に妙な納得を得た。
 彼を信じて伝えられた通り怒鳴りまくって『もう二度と学校に行かず進学もせず就職もしない!塾の費用もこれまでも全部無駄にしてやる!未来永劫再起しない!』と断言すると両親は私の願い通り二つ通っていた塾を一つに減らしてくれた。
 徐々に上がっていく成績にベストな判断だったと説得させることができた。
 無理させていたことにその後気づいた両親は、改めて謝ってくれた。
 川鳥に嬉々として伝えれば、『覚えてない』とあっけらかんに言う。
 その間ずっと寄り添ってくれていたはずなのに彼は私の感謝にさえ興味を示さなかった。
 きっと感謝を口にされるのが苦手なんだろうと思った。
 実際、彼が先生の手伝いをしても礼を言う前に爆速で逃げる姿は度々目撃している。
 私の繊細な部分に気づいたのは、彼もまた繊細な心を持っているからなのかもしれない。
 だとしても。
「考えすぎじゃないかな」
 もしもそうならば、噂になる。
 噂が一切ないのは中学生の頃の同級生たちでさえ幼馴染以上の関係に思えなかったから。
「言い争う仲って滅多になくない?どう頑張っても友達と喧嘩ってあんまないし」
「それは喧嘩してこなかっただけじゃなくて?」
「まぁ、そうか」
 と、考え直す彼。
 人と仲良い割に喧嘩がないのは、信頼しきっているかそもそもそこまで人に興味がないかの二択。
 彼の場合、信頼しきっている気がする。
 クラスメイトとこれだけ仲がいいのだから興味ないはずがない。
「二度目のチャンスに協力してあげる。だから、深く考えすぎないで」
 あざす、と笑顔をくれる彼。
 私がいないと彼は告白もできないのだろうか。
 とはいえ、友達でいいんじゃない?と返された彼をどう恋仲に繋げるか。
 難しいなと思う。
 長野の気持ちも見えない今、どうしたらいいのだろう。

 帰り、長野の席に行くと机に向かって勉強していた。
 いつも誘いたいけれど断られる。
 わかっているくせに私はいつも誘ってる。
「ごめんね、テスト近いしさ」
 ありきたりな断り文句。笑顔で気にしないでと言うけれど、実際はもっと一緒にいたいのにと思う。
 テストが近いわけでもないのに彼女はいつも放課後教室に残る。
 塾に通っていないのは知っているけれど、学校より家の方が集中できるものじゃないかとたまに考える。
 ファストフード店にでも行ってドリンクバー頼んで勉強するのだってありだ。……そうだ。
「ね、一緒に勉強しようよ。カフェでも行かない?」
「あー……、ごめん。今、お金ないんだ」
「そっか」
 あえなく撃沈。
 確かに学校ならエアコンもあって快適だろうけれど。
「いつも遅くまで残ってるんでしょ?」
「うん。周りに置いていかれちゃうと嫌だから」
「たまにはどう?」
「ごめんね」
「……大学、そんなにいいところ目指してるの?」
 進学校であるこの高校では公立大学を目指す人もいる。
 川鳥も公立大学にするつもりだと言っていた。
「うん。だから、勉強してる。塾も行ってないし」
 塾に行けばいいじゃんと軽い気持ちで言ってしまいそうになる。
 だけれど、彼女が行かない理由もあるわけで。
 その理由を彼女の口から聞くまでは聞けない。きっと彼女から聞くことができたらそれは本当に信頼している仲だと思えるから。
「そう。ごめんね、時間取っちゃって。頑張って」
 教室を出て廊下から彼女を見やる。
 当たり前に机に向かえるなんてすごいことだと彼女は気づいているだろうか。
 図書室にも行かず、集中できるからと教室に残っている。
 担任も気づいているけれど、誰もそのことに触れるつもりはない。
 本当に触れていいのかもわからないから、聞かない選択がベストになる。
 友達であってもこの選択は正しいのかと考えてしまう。
 深く考えたところで答えは出ないのに。
 彼女にしかわからないことなのに。
 知ろうとするのは、烏滸がましいのだろうか。
 下駄箱を出るとグラウンドでサッカー部の声が聞こえた。
 そこには川鳥もいる。
 ゲラゲラと笑いながら部員とコートに向かう。
 今も長野に振られた傷が癒えていないのに、彼は誰にでも笑顔を向ける。
 なんだか、二人とも似ているなと思う。
 人といるときは笑顔を忘れない。真剣な話の時もすぐに気づく。
 似ているけれど、お似合いかと言われると少し違うのかもしれない。
 お互いに気を遣ってまともに会話ができないんじゃないだろうか。
 クラス内だから周りの目を気にして楽しくやってるだけかもしれない。
 彼がいまだに長野にアタックできないのは、その辺に気づいてしまったのではないだろうか。
 私は叶わない恋をしている。彼は叶うはずの恋をしている。
 だけれどそこには見えない壁が作られている。
 長野はいまだに笑顔という壁を作っている気がしてならない。
 でも、だとしたらどうして曽我に告白したんだろう。
 幼馴染だと思っていたのは長野のはずなのに。
 相川や笹井にちょっと言われたくらいでどうして。
 考えたって答えが出ないということは私が一番よく知っていた。

 部屋で一人、夜に浸る。
 初めて女の子を好きになったのはいつだっただろう。
 初恋を聞かれた時に女の子の名前が出た時だろうか。
 そもそも好きがなんなのか私はちゃんと理解しているのだろうか。
 周りが男の子の名前をあげていく中で私一人モヤモヤしたのを覚えてる。
 女の子の名前を出した時以降、その子から距離を置かれたことを思い出す。
 ちょっと嫌そうな顔をして、それでも嬉しいよと返してくれた彼女の優しさ。
 私の恋は、人に気を遣わせるだけ。
 そっと胸にしまって、距離が近づけばドキドキして。
 平常心を装って友達のままでいる。
 流れに身を任せて唇を奪い去るなんてこともしない。
 嫌われたくないから。
 今は長野に嫌われたくない。
 叶わないとしても、すぐそばにいたい。
 友達のままでいい。
 なのに、彼女は私へのスキンシップが激しい。
 髪をくしゃくしゃにしたり、腕に絡めてきたり、肩をトントンなんて叩いて、頬をぷにぷにと触る。
 やめてよなんて言いながら、嬉しいのは隠して。
 その気がないことに悲しくなる。
 気持ちが持たないくせにされるがまま。
 彼女だけ欲しいものを得ているようでずるい。
 登校して、いつも見たく長野に声をかける。
 自転車から降りれば、彼女はいつもみたいに髪をくしゃくしゃにする。
「眠そうだねぇ」
 目を覚ましてくれるようで、嬉しいけれど。
 やっぱり友達にしか思っていないんだろうと思う。
 他愛のない話をして、教室に入って。
 適当に時間を過ごして放課後に。
 彼女は今日も一人で勉強している。
 思い切って、隣の机をくっつける。
「一緒に勉強しよ。家、帰りたくない」
「うん、しよっか」
 彼女は長い髪を耳にかけて問いを解いていく。
 一緒に勉強するにしてもお互いそれぞれが時間を消費する。
 どれくらい時間が経っただろう。思いの外集中できている自分に驚いた。
 彼女が水を取り出し口に入れた頃、私は腕に絡みついた。
 何も言ってくれない彼女に何も言わない私。
 もっともっとと欲する自分はなんて醜いだろう。
 頭を肩に乗せる。
「集中できないやー」
 なんていえば彼女は笑った。
 勉強の邪魔だろうか。邪魔でいい。それで頭をいっぱいにしたらいい。
 私はもうあなたでいっぱいなのだから。
 チラリと彼女を見やれば、面白おかしそうに頭をポンポンと撫でる。
「子供じゃない」
「高校生は子供だよ」
「じゃあ、甘える」
「おいで」
 彼女の肩に頭をぐりぐりしてやろうと近づける、刹那、彼女は私の頬をぷにぷに摘んだ。
「甘えていいんじゃないの」
「可愛い」
 全く相手にしない彼女。
 私にだけSっ気があるわけじゃない。川鳥のことも普通に叩くような人。私だけだったらいいのになんて思いは届かない。
「ねぇ、私のことどう思ってる?遊び道具じゃないよ」
「どうしたの急に」
 と言いながらもまだ続ける彼女。
 心なしか痛みを感じる。
「ロボットじゃないから、急にキスしても怒んないでよ?」
「子供騙しは大人に通じないよ」
「同じ高校生じゃん……」
 私が子供なら長野だって子供だ。
 騙してるつもりもない。
「私……、あなたにキスしたいよ」
 なんて言葉を伝えてしまったのだろう。
 本気にしないで欲しいと思う反面、本気な私がいる。
 グニっと強く摘んだ後、ペシンと頬を叩かれる。
 鈍い痛みが頭をくらくらさせる。
「揶揄わないの。ほら、勉強しよ」
 私の気持ちなんか気にせずに机に向き直す彼女。
 キスでもしていたら、揶揄ってないと思わせられただろうか。
 しかし、私は彼女の横からハグをして、背に顔を擦り付ける。
「友達だよ。ずっと、友達」
「……」
「好きだよ。でも、うん……、恋人じゃないよ……。友達として、好きだから」
 キスはしないよ。
「いつまでも一緒にいてね」
 この気持ちを浄化する言葉があるのなら。
 それを言わないで欲しいと願うから。
 曖昧なままの関係であり続ける。
 きっとこの先も変わらないのだろうと思った。
 彼女が傷つくくらいなら、私が傷付けばいい。
 誰かを傷つけないためにいるのがヒーローならば、私は多分ヒーローだ。
 なんて気持ちには到底なれそうになかった。

 あんなことがあってもなお、長野は私と友達でいてくれた。
 変わらず髪をくしゃくしゃにして、ぷにぷにと頬を触る。
 ハグだけは許容範囲のようで誰もいないところで勝手にハグをしている。
 多少変わったとも言える関係に私はなんだかほっとしていた。
 あの川鳥よりも接触できる女子で良かったと思う。
 上山から呼び出されて廊下に出る。
 修学旅行のグループの話だと思っていたけれど、彼女の口から出たのは川鳥のことだった。
「あのさ、協力してくれない?川鳥と付き合えるように」
 それがまたグループの関係性を一気に変えてしまうことになるとはこの時は思いもしなかった。