自分の人生が主役だと誰かが言う。
 まるで当たり前に主役を張っている俳優のように。
 だけど、学生生活なんてものは誰かの脇役にしかなれない。
 恋をしても、友達がいても。
 どこかで自分は独りなのだと気づく。
 頼ったところで変わらない。
 相手はそんなことに興味もない。
 悩みの相談ごとに自分を使わないでほしい。
 そんな人たちばかり。
 どうやって頼ればいい。
 頼れる相手なんてどこにもいない。
 だから、空元気に笑うだけ。
 ゲラゲラと誰かと談笑する。
 そこに中身はない。
 空っぽの会話だけが残る。
 それはチリとなって消えるだけ。
 最後は何も残らない。
 人生の終わりと同じよう。
 でも、どうしてか人は同じように見える相手に見入ってしまう。
 魅了されてしまう。
 あなたを好きになったのはきっと、同じだと思えたから。
 現状を変えたい時、誰かを想起させる。
 その誰かならどうしてたか、考える。
 きっとこうするだろうって。
 人を信じていないくせにどうして人を想うのか。
 本当は誰かを信じてみたいと知っている。
 その日が来るまで笑っていよう。
 自分にできることなんてないのだから、自分の意思なんて言わない方がいい。
 そう気付いてから何年が経っただろう。
 現状なんて変わらない。
 今のままでいいと諦めがつく。

 また諦めがつく日が来るなんて、この時は思ってもいなかった。