幼馴染。それ以上の関係になるなんて誰が想像していたのだろう。
高校生になったら何かしら出会いがあって、今迄無縁だった恋愛とも関わる機会があるのかもしれないと考えた事もあった。それ止まりで、具体的に何をするのか、何をしたいのか、なんて想像は出来なかったけれど...恋愛という存在に対して軽く気に留めていたくらいだった。
まさか自分が、少女漫画に出てくる王道のシーンを女子目線で体験するとは思わずに。
誰もいない空き教室。
側でふわりと舞うカーテン。
グラウンドから飛び交う男子の野太い声。
色んな音が混ざり合う空間の中で、目の前の彼は震える手で僕の手を取る。
「好きなんだ。遥の事が...ずっと好きだった」
もう何度も側で見てきた彼がまるで知らない人みたいに思えた。僕の手の甲に撫でるように親指の腹を押し当てる。まだ震える彼の手を、僕は無意識にきゅっと握り返してしまっていた。僕の反応にグッと何かを堪えるように唇を噛み締める彼は耳迄真っ赤にして俯いている。「ごめん、遥。...ごめん」と続けた彼は、申し訳なさそうに僕の手からそっと離れていった。
この日、僕は生まれてからずっと家族ぐるみの関係である幼馴染に告白された。そして謝られた。
高校生になったら何かしら出会いがあって、今迄無縁だった恋愛とも関わる機会があるのかもしれないと考えた事もあった。それ止まりで、具体的に何をするのか、何をしたいのか、なんて想像は出来なかったけれど...恋愛という存在に対して軽く気に留めていたくらいだった。
まさか自分が、少女漫画に出てくる王道のシーンを女子目線で体験するとは思わずに。
誰もいない空き教室。
側でふわりと舞うカーテン。
グラウンドから飛び交う男子の野太い声。
色んな音が混ざり合う空間の中で、目の前の彼は震える手で僕の手を取る。
「好きなんだ。遥の事が...ずっと好きだった」
もう何度も側で見てきた彼がまるで知らない人みたいに思えた。僕の手の甲に撫でるように親指の腹を押し当てる。まだ震える彼の手を、僕は無意識にきゅっと握り返してしまっていた。僕の反応にグッと何かを堪えるように唇を噛み締める彼は耳迄真っ赤にして俯いている。「ごめん、遥。...ごめん」と続けた彼は、申し訳なさそうに僕の手からそっと離れていった。
この日、僕は生まれてからずっと家族ぐるみの関係である幼馴染に告白された。そして謝られた。
