特訓を始めて2週間くらいたった。どうやら僕は魔法の扱いにたけていて、すぐに飛べるようになった。今日も、お屋敷の周りを飛んでいた。
「いいね!じゃあ…そろそろ属性魔法にいってもいいかもね」
 そういえば、この前も属性魔法とかいってたな…その話かな?
「その…属性魔法ってなんですか?」
「あ、説明しなかったっけ?…えーっとね、属性魔法は魔法少女症候群によって幾つかの新しいDNAができるんだけど、それに沿ってひとつの『魔法』が発現するんだ。それが一般に言われる魔法」
 魔法。この前の力と違って、その響きには謎の恐ろしさがあった。
「このまえ、検査受けてくれたと思うけど、そのときの結果的に、君は4属性の内の水、氷瀑の能力みたい」
「氷瀑?」
 聞いたことがないというわけではない。確か…滝が凍ったときの呼び方だったような。
「氷瀑はね、周囲の水を凍らせて持ち上げる。それが凍った滝のようだから名付けられたのなんだ」
「なるほど…僕は本当に使えるのでしょうか?」
 慣れ!と元気な声で言われた。やってみないとわからないから、とりあえずやってみることにした。

 目の前には水溜まりが。昨日の雨の跡だ。
「魔法はね、そこに実在するものを変化させる感じ。それは『言霊』として言葉にするとさらに答えてくれる」
「イメージだけでも行けるけど、結構むずかしーんだよね~」
 実在するものを変化させる、イメージ…
 そう思い、水溜まりに目を向けた。自分の目には、それが氷の壁になっている像が浮かんだ。その像を強くイメージしてみる。すると、
 水溜まりがすぐに氷の壁になった。
 僕はすごく驚いた。薫さんもすごく驚いていた。
「え…すご」
 もう言葉をなくしていた。そりゃそうだとしか…何せ、魔法を始めて使ったはずなのに、言葉を使わず実行したから。
「…ホントに、法人くんは呑み込みが早いね。なんか理由があるのかな?」
 途端、ある思い出がフラッシュバックした。形容しがたいことをされ、それを受け入れた光景。
「…わからないですね」
 そのことは、あまり口にしたくない。

 1ヶ月立つ頃には、僕は魔法の扱いがかなりうまくなっていた。勉強は人並み、運動神経がない僕の意外な才能。ちょっと誇りに思うところがあった。
 このときも、他の魔法少女たちは現れる魔群に抵抗していた。一緒に魔群の見分け方を学んだ。大きく分けて。
・虫のような群体行動を行う群体級(スウォームクラス)
・犬や狼ににた、魔群の中心にいたり群れで襲ってくる大狼級(オオカミクラス)
・ 希に出現する人型の人形級(ドールクラス)
 の三つらしい。前のアリスというのはこの人形級らしい。これらを覚えるのは大変だったが、以外となんとかなった。
 そうして、僕は戦場に立てる魔法少女になったのだ。