車に揺られ数時間。ある「屋敷」にきた。
　いわゆる豪邸だ。…少し、管理がずさんな気がするが。
「ここで降りるぞ」
「あ、はい」
　長く揺られていたのか、降りると少しふらついた。
　そんなこと関係なく、北御門さんはすたすたと歩いていく。
　少し小走りでなんとか追い付く。大きな庭には、大量の紅い花があった。見たことない形だ。葉っぱがしたに向いていて、不思議な花だった。
　真ん中には噴水があった。今は水出てないが。
　そんな風に歩いていると、やっとドアに着いた。
　北御門さんがノックする。
「はーい」
　どたどたと、かなりの勢いで走ってきているような音がする。
「こんにちわ～北御門さん…と、新しい魔法少女さんかな？」
　中から出てきたのはかわいらしい大きなコートを羽織り、その下に迷彩服を来ている不思議な人だった。
「は、はい。あの…お名前は？」
「自己紹介はあとであとで！とりあえず上がって、」
　無理やり引っ張るようにつれられていく。北御門さんは苦笑していたのが一瞬だけ見えた。



　屋敷の中は案外広く、大きな吹き抜けのスペースがあり、2回に7つほど部屋が用意されていた。
　大きなステンドグラスが、部屋を照らしていた。そこには、大きなオオカミが書いてあった。
　部屋には大きな机があり、そこにはいろんな料理がおいてあった…というか、すごい歓迎ムードだ。
「ようこそ。魔法少女の屋敷に！」
「私の名前は山口菜乃花(やまぐちなのか)、こっちの陰湿そうなのは井伊舞(いいまい)で…」
　次々と紹介されていく。まとめると、
・明るいリーダー的な人山口菜乃花(やまぐちなのか)、
・ちょっと暗めな人井伊舞(いいまい)、
・自分と同じ、元男の人東雲翔(しののめしょう)、
・一番年上の19歳の人堕天使かおる(だてんしかおる)、
・よく突っ張っちゃうらしい人森夏樹(もりなつき)、
・一番の熟練者という人吉馴薫(よしなれかおる)、
　の、六人。そしてこの前亡くなった三澤春夏だそうだ。魔法少女は7人。それ以上にも、それ以下にもならないらしい。それにしても、彼女らは同じ魔法少女の死を受け入れている。
「この前亡くなった魔法少女のことは悲しくないんですか？」
　気づいたときにはもう聞いていた。すると、かおるが
「まあ二十歳で死んじゃうから、別に悲しいというのはあまりないかな」
　はっきりとそういった。
「え？」
「あ、言われてなかった？魔法少女は、二十歳で呪い殺されるって」
　どうやら、噂は本当だったらしい。どこからともなく、嬉しさが込み上げる。不思議だ。死ぬ日が決まってしまったのに。
「ま、そんなことより歓迎だよ！」
　菜乃花さんがそんなことを言う。
「ま、まあ、そうだ、ね」
「そうだな。俺が作った力作だぞ！」
　2人(舞と翔)が肯定すると、他の人たちもこくこくと頷いていた。
「じゃ、じゃあ、」
「「「いただきます」」」



　久しぶりにこんなごちそうを食べたような気がした。美味しそうなご飯はやっぱり美味しく、翔さんの腕をベタ褒めしていた。
「…さて！今日はゆっくりして、明日に備えてね」
「備える？」
「明日からしばらく訓練するのが、魔法少女の掟なのよ」
　なるほど。そういうことか。
「あ、見るのは私だから、ちょっと覚悟しててね」
　そういって、薫さんは立ち去っていった。