朝、また来てしまったと日常的な絶望を繰り返し、『常識』的な行動を行う。顔を洗い、服を着て、ご飯を作り、そして食べる。ここまでで親が干渉してくるのはほとんどない。
 そして歯を磨き、学校にいく準備をして、学校にいく。それが日常。それだけでいいのに。



 ほんとに、それだけでいいのに…







「魔法少女が死亡?」
 今朝、なぜかあるスマートフォンで、そのような記事を見た。どうやら、昨夜の戦闘で新たな魔群が現れ、それの攻撃により、死亡したそう。
 その魔群は、人の形をしていて、魔法を使ったとのこと。それを見た自衛隊員はそれを「アリス」と呼称している…
「いいなぁ…」
 人のために死ねて。
 
 学校につくと、女子が検査にいっていた。
 僕のもとなんかにつく中川彰(友達)が言うには、
「あ~…女子って魔法少女症候群の発見が男子みたいに難しくなくて、あーやって検査するってセンセーが」
 とのことだった。
「あ…そーだった」
「全く、テストにも出るよ?w」
 やめてくれと適当にあしらい、検査で止まった授業を待つ。
「なあツツミー」
「ん?」
「俺らのどっちかが魔法少女になったら?w」
「…はぁ!?」
 あまりもの爆弾発言に、すこし声を荒げてしまう。
 落ち着け…落ち着け…
「…ゴホン……少なくとも、僕にはならないでしょ」
「まあ俺もならんとは思うがな!」
 彼は豪快に笑った。清々しい…
 すると、女子が少しづつ戻ってきた。今日は誰もいなかったらしい。みんな安堵している。きっと、早死にしたくないだけだろう。
 魔法少女には、ある噂がある。『魔法少女は二十歳で呪い殺される。』みんな、それを真に受けている。
 馬鹿馬鹿しい。そう思っているけど、僕は、それをひっそりと信じてる。
 その後、授業が始まり、何気ない日常が過ぎていった



「ただ…」
 靴がある。2つ、ひとつは見馴れないものだった。
 部屋の奥で、2人のいびきが聞こえる。一人は親父のだ。もうひとつは…知らない女性のものだ。最悪だ。
 とりあえず、ご飯をつくって食べてから風呂に入ろう。勉強もしないといけない。親が帰ってくるの、何ヶ月ぶりだ…?また、やられてしまうのだろうか。
 とはいえ、今日は見知らぬ女性を抱いていた。さすがにない…と、信じたい。







 …気づいたら寝てしまっていた。最悪だ…?なんだ?体が変な感覚がする。急に体重が減ったような…
 それになんだ?体の前が重くて、胸が苦しい…
 ………もしかして、そう考えた僕は、鏡の前にたって、絶句した。
 僕は、女の子になっていた。
 謎の高揚感と共に、僕はすぐに市役所に電話をかけた。政府の命令により、魔法少女症候群を発症した人たちはすぐさま市役所に報告。その後、自衛隊の管轄にはいる。とのことだった。
 連絡した後、市役所に来てほしいと言われた。すぐさま向かう準備をする。身支度なんてどうでもいい。とにかく、僕は市役所に急いだ。

堤法人(つつみのりひと)。東京都在住、学歴は中学生、性別は男…」
「はい、これで手続きは完了です。しばらくしたら、自衛隊員が迎えに来ます」
 なれたような手付きで手続きを完了させた市役所の人は、少し、哀れんだような目をしていた。
 本当にしばらくすると、自衛隊の車両が来た。
北御門勝(きたみかどまさる)です。君が、新しい魔法少女の堤法人だね?」
 はい。と、うなずく。
「ついてきて」
 とにかくついていった。車に乗り、どこに向かってるかわからずに。
「あの…どこに向かってるのでしょうか」
 そう聞いてみた。
「うーん…お屋敷。といったらいいかな」
 どうやら僕は、お嬢様の扱いらしい。