病院生活3ヶ月目。準と付き合えたこと、倒れた事、保育園に行ったこと。少しずつ気持ちの整理もついてきた。準は毎日お見舞いに来てくれて、学校に行けない私にノートを見せてくれる。
ガラッ
病室の扉があいて、そちらをみると見たことのある人が…
「梨乃ちゃん!」
「優羽ちゃん!?」
どうしてここに!?
「加賀早すぎ…」
あとから準が入ってきた。もしかして、準が連れてきてくれたのかな?
加賀優羽ちゃんは、中学の時の同級生。高校はべつになっちゃったから全然会っていなかったんだ。中学の時はよく話してて、いつも一緒にいる仲だった。準とは中学は同じなものの、同じクラスになったことはなかったんだ。でも、準と優羽ちゃんは同じクラスになったことがあって連絡先交換してたのかな。
「そういえばさ!」
「ん?」
「2人、付き合ってるんだって!?」
「えぇぇぇぇ!!」
知ってるの!?
「どうなの!?」
ぐいぐいくるところは中学の頃から変わってない。どう答えたらいいのか困って準の方をみる。準、顔赤い…
「う、うん」
結局私が答えちゃった。「やっぱり…」と言っている優羽ちゃん。え、これを聞くためだけにここにきた訳じゃないよね??
「で、本題は??」
準の言葉にそれが知りたかった!と頷く。
「梨乃ちゃん!勉強教えて!」
なるほど?

どうやら優羽ちゃんは勉強が苦手らしい。私は数学が苦手だけど、勉強は得意な方だ。準は特に数学が得意だからちょうどいい。
てことで勉強会なう。
開始5時間…
私は読書、準は自主勉中。私は気づき始めていた。優羽ちゃんが、本当は勉強が苦手ではないということに。たぶん、勉強が苦手なんじゃなくて勉強をすることが苦手なんだと思う。問題はすらすら解けてるし、やる気が出ないとできないタイプ?かな。
「今日の分の勉強しゅーりょー!」
病室に明るい声が響いた。
「お疲れ様。優羽ちゃんて勉強できる方だよね?」
「やればできる女だもん!」
「それ自分で言う?」
私と優羽ちゃんの掛け合いに笑い出す準。
あ、楽しい。
学校に行けなくなってからずっと思ってた。普通の17歳の女の子として笑い合うことができたらなって。2人といる私は病気のことなんて忘れて笑えている。それが想像以上に楽しくて、鼻の奥がツンとする。
「ちょ、梨乃ちゃん!?」
「梨乃。どっか痛い??」
「バーカ…大丈夫だよ」
私を心配してくれてる人がそばにいた。私は一人で戦うんじゃない。みんながいる。それに気づけたよ。