朝早く目が覚めた。
二度寝をする気もわかないほど気持ち良く目覚めたものだから,寝過ごしたのかと思ったが,近くに転がっているスマホに五時十六分という文字が浮かび上がっているのを見て安心する。
その数字を見るのと同時に『土曜日』という文字も一緒に目に映る。
「土曜日か…」
普段は休みの日は学校に行く日よりも遅くまで寝ているが,今日は早くに目が覚めてしまったようだ。
ベッドから降りてそっと自室の扉を開ける。予想通り廊下の電気はついておらず,人の気配は感じられなかった。そのまま洗面所へ歩いていき顔を洗って目を覚ます。寝起きで温まっていた体温がひんやりと落ち着いた気がする。
人の気配のしないリビンクは不気味なもので少し寒くも感じた。母さんと花梨を起こさないためにも光は最小限にカーテンの端を少し開けるだけしておく。空では既に太陽が仕事をしていて海斗の心のようなグラデーションの綺麗な空ではなかった。
「全員が仮面を被ってるね……か」
昨日海斗と話した内容を思い出す。彼は一体どんな仮面をかぶっているんだろうか。昔からの友達で幼馴染でも何一つもわからない。それは,あっちも同じで私の事はきっと何もわからない。本当ならこれから先も何もわからないまま進んでいくはずだった。高校では違う学校に行って大人になっていって,同窓会か何かで再開して久しぶりなんて言い合う関係のはずだった。仮面の下なんか少したりとも見せたりせず。だけどあの公園に会うようになったから,そんな未来が少し変わった。互いの仮面の下を少しのぞき合って,大人っていうのはなんて一丁前に話して。確かにあの公園で何かが変わったんだ。
今日は休日であの公園では集まらない。海斗がそう決めたから。でも一人で行く分には別にいいだろう。
今日の空は晴れている。公園に行く日としては申し分ない。何か知りたいことがあるわけでも,何かをしに行くわけでもない。
けれど―――
二度寝をする気もわかないほど気持ち良く目覚めたものだから,寝過ごしたのかと思ったが,近くに転がっているスマホに五時十六分という文字が浮かび上がっているのを見て安心する。
その数字を見るのと同時に『土曜日』という文字も一緒に目に映る。
「土曜日か…」
普段は休みの日は学校に行く日よりも遅くまで寝ているが,今日は早くに目が覚めてしまったようだ。
ベッドから降りてそっと自室の扉を開ける。予想通り廊下の電気はついておらず,人の気配は感じられなかった。そのまま洗面所へ歩いていき顔を洗って目を覚ます。寝起きで温まっていた体温がひんやりと落ち着いた気がする。
人の気配のしないリビンクは不気味なもので少し寒くも感じた。母さんと花梨を起こさないためにも光は最小限にカーテンの端を少し開けるだけしておく。空では既に太陽が仕事をしていて海斗の心のようなグラデーションの綺麗な空ではなかった。
「全員が仮面を被ってるね……か」
昨日海斗と話した内容を思い出す。彼は一体どんな仮面をかぶっているんだろうか。昔からの友達で幼馴染でも何一つもわからない。それは,あっちも同じで私の事はきっと何もわからない。本当ならこれから先も何もわからないまま進んでいくはずだった。高校では違う学校に行って大人になっていって,同窓会か何かで再開して久しぶりなんて言い合う関係のはずだった。仮面の下なんか少したりとも見せたりせず。だけどあの公園に会うようになったから,そんな未来が少し変わった。互いの仮面の下を少しのぞき合って,大人っていうのはなんて一丁前に話して。確かにあの公園で何かが変わったんだ。
今日は休日であの公園では集まらない。海斗がそう決めたから。でも一人で行く分には別にいいだろう。
今日の空は晴れている。公園に行く日としては申し分ない。何か知りたいことがあるわけでも,何かをしに行くわけでもない。
けれど―――

