5日間の恋人ごっこ

…だけど、本当にそうかな?

死んで記憶をなくした幽霊状態の廉くんと会っても、お姉ちゃんが傷つくだけじゃないかな。

それに、感動の再会を果たして五日間を過ごす、なんていう小説みたいな綺麗な恋愛を、私はまたそばで見ていることしかできないの…?


「…廉くんは、私の一個上で今は高三。私と同じ高校で、同じバスケ部で、去年には男バスのキャプテンも務めてた」

「…そうか。だからさっき、シュートが自然と打てたんだ。ボールを手にした時にしっくりくる感じというか、こんな感じで投げたらうまく入る、っていうのがなんとなくわかったんだ。うん、忘れててもやっぱり心では覚えてるんだな」


廉くんは少しだけ嬉しそうに頬を緩めた。

その笑顔を見て、私の中に醜い感情が浮かんできてしまった。

“廉くんが記憶をなくしている今なら、私にもチャンスがあるんじゃないのか”


「瑠那とは同じ部活で仲良くなったって感じか?」

「…え?あー男子と女子は練習が違うけど、まあ関わることは多くて、それでいて廉くんは私の…」


言わないと。“廉くんは私のお姉ちゃんの彼氏だったから”って。

頭ではそうわかっているのに、気づいたら、私は全く別のことを口にしていた。


「廉くんは私の彼氏、だったから」