5日間の恋人ごっこ

「ねえ、瑠那。私、ずっと瑠那が羨ましかったんだ」

「…え?」


ぽつりと聞こえてきた声に、思わず反応してしまう。


「私は瑠那みたいに努力家じゃないから、なんでも中途半端で空っぽで。廉がバスケで苦しんでる時も、何もわからないから力にすらなってあげられない。廉がね、前に言ってたの。何気ない会話だったからきっと廉は覚えてないだろうけど、“もし里緒奈とよりも先に瑠那と出逢ってたら、俺は瑠那と付き合ってたかもなー”って。本当、その通りだと思う。私はたまたまタイミングが良かっただけ。なんの取り柄もない、誰でも替えがきくようなそんな人間」

「そんなことない!」


気づいたら、部屋のドアを開けてお姉ちゃんに怒鳴っていた。


「違うよ。お姉ちゃんはお姉ちゃんのいいところがある。タイミングとか、たまたま先に産まれたとかそんなの全部関係ないんだよ。いつどんな時に出逢っても、きっと廉くんはお姉ちゃんを選んでる。お姉ちゃんにしか好きって言わないんだから…」


廉くんは生きていた時も死んでからも、私に冗談でも軽くでも“好き”の二文字だけは言うことはなかった。

だって、廉くんの心にいるのはいつだって、記憶をなくしていてもお姉ちゃんただ一人だから。


「廉くんがどれくらいお姉ちゃんのこと好きか知ってる?きっと世界中探しても廉くんを越えられる人はいないよ。私も含めて」

「ええー…何それ。せめて瑠那は越えててよね…」


必死に笑っていたお姉ちゃんの瞳からポロポロと涙がこぼれ落ち、床に吸い込まれていった。