「…え?廉くんも?」

「おう」


記憶がないから自分の両親が気になる…のかな。

だとしても廉くんを連れていくわけには…。

お姉ちゃんは来ないからいいとしても、ひょっとしたら私が彼女じゃないことがバレてしまうかも…。

こんな時でも自分の心配しかできない自分に嫌気がさす。


「一瞬でいいんだ。俺が生きていた証を一瞬でも見に行きたい」

「…わかった」


最初から私に断る権利なんてない。

廉くんとお葬式の会場に向かうと、すぐに私に気づいた廉くんのお母さんがやつれた顔で微笑みながら近づいてきた。


「瑠那ちゃん、来てくれてありがとうね」

「…いえ」


お姉ちゃんのことを何か聞かれたらどうしようとドキドキするも、廉くんがじっと自分のお母さんを見つめているため去ろうにも去れない。

思い出そうとしてるのかな…。