ハッと顔を上げると、柚月は優しく微笑みながら私の頭をポンポンと撫でてきた。


「…最低だよね」

「最低なんかじゃない。瑠那がずっと黙ってた気持ちだってわかるから。この世界には好きになっちゃダメな人なんていないんだよ。出逢うタイミングが少し遅かっただけで、諦めなきゃいけないことなんてない。諦めるってことは誰よりも瑠那が嫌う言葉でしょ?なんでも昔から一人でコツコツと頑張って最後は結果を残すんだから。時間はかかるかもしれないけど、瑠那はきっと立ち直るでしょ?廉先輩もそれを望んでるんじゃないかな」


私が廉くんと出逢った本当の理由って、なんなんだろう…。

いつか向き合わないといけない。

お姉ちゃんとも、廉くんとも。


わかってる。わかってるけど、そんなのただの綺麗事だ。

好きになっちゃダメな人はこの世界にいるんだよ。

私にとってそれは廉くん。

好きになんてならなければよかった…。



「俺も行きたい」


廉くんのお葬式に少しだけ顔を出してくるからここで待っていてほしいと廉くんに伝えにいくと、なぜかそんなことを提案された。