廊下で私のことをからかいながらすれ違う廉くん、体育の授業で校庭にいる時、授業中なのに私に向かって大きな声で手を振ってきて怒られていた廉くん、部活でスランプに陥った時に練習後に残ってシュート練習を付き合ってくれた廉くん。
きっとお姉ちゃんに比べたら、一緒に過ごしている時間も思い出だって少ないけど、それでも私も廉くんとこの学校で過ごした二年間がある。思い出がある。
伝えられなかった想いだって、ある。
「…ねえ、廉くん」
「ん?」
「私ね、廉くんのことが好きなの。短い間だったけど、出会えて一緒に過ごせて、よかったと思ってるよ」
廉くんは驚いたように目をぱちくりと瞬かせ、ふっと優しく笑った。
「俺も、そうだと思う。記憶はなくなっても、心が覚えているはずだから」
ずきんと痛む胸に気づかないふりをしながら、廉くんに笑い返す。
きっとその感情は、私にではなくお姉ちゃんに向けられたものだとわかっていても。
「ずっと廉くんと同じクラスだったらいいのに、って思ってたからその願いも今叶って嬉しい」
「…なあ、瑠那」
じっと私を見つめてきた廉くんがそっと顔を近づけてきた。
突然のことにこれはダメだ、と思いながらもぎゅっと目をつぶると、おでこに柔らかいものが触れた。
きっとお姉ちゃんに比べたら、一緒に過ごしている時間も思い出だって少ないけど、それでも私も廉くんとこの学校で過ごした二年間がある。思い出がある。
伝えられなかった想いだって、ある。
「…ねえ、廉くん」
「ん?」
「私ね、廉くんのことが好きなの。短い間だったけど、出会えて一緒に過ごせて、よかったと思ってるよ」
廉くんは驚いたように目をぱちくりと瞬かせ、ふっと優しく笑った。
「俺も、そうだと思う。記憶はなくなっても、心が覚えているはずだから」
ずきんと痛む胸に気づかないふりをしながら、廉くんに笑い返す。
きっとその感情は、私にではなくお姉ちゃんに向けられたものだとわかっていても。
「ずっと廉くんと同じクラスだったらいいのに、って思ってたからその願いも今叶って嬉しい」
「…なあ、瑠那」
じっと私を見つめてきた廉くんがそっと顔を近づけてきた。
突然のことにこれはダメだ、と思いながらもぎゅっと目をつぶると、おでこに柔らかいものが触れた。



