偶然なのか必然なのか、廉くんは何も言わなくても自席である窓際の一番後ろの席に腰掛けると、笑顔で私を手招きしてきた。


「…そこ」

「ん?ああ、この席めっちゃいいよな。俺だったらここの席がいいなーって思って。寝やすいし早弁するには持ってこいだろ?」


思わず吹き出しながら、廉くんの隣に腰掛ける。

もしも、私が廉くんと同い年だったら…。


「せんせー。廉くんが、早弁してまーす」

「あ、おいこら!バラすなよ!」


ガタッと慌てて立ち上がる廉くんに、クラスメイトの笑い声が今にも聞こえてきそうだった。


「もし俺が生きていたとしても、瑠那と同じクラスになることはなかったんだなー…。なんかそれは悲しいかも」

「…仕方ないよ。年の差はどう頑張っても変えられないもん」


私だって何度願ったことだろう。

私がもっと早く産まれていれば。廉くんがもっと遅く産まれていれば、って…。


「でも変わらないことだってあるだろ?俺は忘れちゃってるけど、ここで瑠那と過ごした日常は変わることも消えることもない」