「友達といる時の廉くんは、私といる時よりも無邪気で小学生みたいな印象だったな」

「えー俺ってそんな感じだったの?」


蓮くんはいつも人に囲まれて笑っていて、楽しそうな姿しか見たことがない。

部活をやっている時は部員に指示を出したり厳しいことも言ったりとギャップを感じたが、普段の廉くんは馬鹿ばっかりやっていてしょっちゅう先生に怒られていた。

無邪気で明るくて、だけどいざって時は真剣で優しくて周りをよく見ていて、そんな廉くんは人を惹きつける天才だった。


「ここが体育館かー。なかなか広いじゃん」


体育館ではバレー部とバドミントン部が半面ずつコートを使っていて、威勢のいい声があちこちから聞こえてきた。

私は全国大会に向けて練習をしないといけないというのに、廉くんと会う時間を優先させているため、部活は五日間だけ休ませてもらっている。

キャプテンなのにお姉ちゃんの彼氏が亡くなったからって部活を休むなんて、責められたっておかしくはないのに部員や柚月、顧問の先生は寛大な心で私の申し出を受け入れてくれた。


「なんか少しだけ懐かしい、かも…。ここで俺は部活やってたんだなー」

「そうだよ。廉くんは普段とバスケやってる時のギャップが大きくて、軽くファンクラブとかもできてた気がする」


そのファンクラブも、マドンナと呼ばれるほど眉目秀麗だったお姉ちゃんと付き合ってからはなくなったけど、廉くんはすごく人気のある人だった。