もしも私とも出会えてなかったら、廉くんは記憶のないまま一人ぼっちでこの世界に戻ってくることになっていたのかな…?

なんで私だけ廉くんが見えるのかはわからないけど、やっぱり運命なんじゃないかとか自分が特別なような気がしてきて、同時に胸が痛んだ。

やっと今、お姉ちゃんに勝てたような気持ちになってしまった。

お姉ちゃんは今も部屋で一人で泣いているかもしれないのに、私はこんなことを思うなんてやっぱり最低だ。

自分の中にこんなにも醜い感情がたくさん隠れていたなんて、知らなかった。


「瑠那?」

「…あ、うん!じゃあ明日は私たちの学校に行こう」


ああ、と廉くんは優しく微笑むと、消えた。

私はしばらく廉くんがいなくなってもその場で立ち尽くすことしかできなかった…。