“お姉ちゃんの彼氏”

最初はただそれだけだった。



廉くんが死んでから、一日が経った。

整った顔立ちと人を集める魅力的な性格、マドンナと呼ばれるお姉ちゃんと付き合っていたことから有名だった廉くんの訃報は、すでに学校中を駆け巡っていた。


「瑠那!学校来て大丈夫なの?」


いつも通り登校した私に、柚月が駆け寄ってきた。


「…うん。もう体調は大丈夫。ごめんね、昨日ミーティング参加できなくて」

「何言ってんの。廉先輩はあんたにとって身内みたいなものなんだから。里緒奈先輩は、大丈夫…?」


お姉ちゃんは昨日から部屋にこもって出てきていない。

私だって、あんな不思議なことが起きなかったら、今のお姉ちゃんと同じ状況だったかもしれない。

ぎゅっと胸を掴まれる感覚に、思わず顔を歪めてしまう。


「瑠那?」

「お姉ちゃんは少し、時間が必要だと思う。私もまだ整理しきれていないから…」