台本選考会から2週間経ち、配役も決まり、本格的に劇の練習が始まった。台本は選ばれなかったが、主要の登場人物の役を勝ち取ることができて、私は台本のことに関しては切り替えることができていた。しかし、台本選考会のあの日以降、なぜか川口先輩は今までめったに話していなかった玲衣奈とよく話しかけるようになっていたことが気になっていた。玲衣奈は人見知りだがさすがにに部活で毎日顔を合わせている川口先輩には慣れたからか、楽しそうに話している。さすがに「話すな!」と思うほどは嫉妬深くはないが、なんでこのタイミングで急に仲が良くなったのか気になる。
「ねえ玲衣奈ー、最近川口先輩とよく話すようになったよね!なんかあったの?」ある朝、学校に向かう途中で歩きながら思い切って聞いてみる。
「えっ?あーそうかなあ。あんまり自覚はないけど。特になんかあったわけではないよ?」玲衣奈が答える。
嘘だ。今まで応援はしてくれていたものの、基本的に男子と話すのが苦手な玲衣奈は川口先輩だけでなく他の男の先輩とも必要最低限しか話していなかった。練習のことなどで分からないことがある時も玲衣奈が必ず聞いてくるのは私だった。でも玲衣奈は私に嘘をついたことは一度もないし、人に嘘をつくようなタイプではない。でも今の玲衣奈はあいまいに話を逸らそうとしていた。
「そういえば、柚桜、川口先輩と絡みある役だったよね?良かったじゃん!たくさん話して距離縮めるチャンスだね!」
やっぱり玲衣奈は私のことを応援してくれている。頭ではそう思うのに一瞬頭をよぎった不安が口から出てしまう。
「玲衣奈、川口先輩のこと気になってたりしないよね・・?」すると瞬時に玲衣奈の顔が曇る。
「え・・・なんでそうなるの?最近話すようになっただけだよ?なんでそれだけで私が川口先輩に気があるみたいになるの?」
一言「違う」と言ってくれれば信じたのに、急に質問攻めになった玲衣奈に疑惑の気持ちが強まる。いや、きっとここで「違う」と断言されてもあの頃の私は、心が幼く、嫉妬深く、変に疑り深いところがあった。
だから、本気で川口先輩を好きでいればいるほど、急に川口先輩と仲良くなった玲衣奈に疑う気持ちが止まらず、言葉によって自分から玲衣奈との友情を止めてしまった。
「質問攻めになってるじゃん。最近の玲衣奈怪しいよ。」
「なにそれ。怪しいって川口先輩と話したことが悪いみたいじゃん。柚桜の好きな人とは話しちゃダメルールとかあったっけ?」
「そんなルールはないけど、急に仲良くなったし・・」
「とにかく私は恋愛に興味ないし、面倒なこと言わないでよ!」
会話の流れがどんどん険悪なムードになっていき、話せば話すほどお互いにヒートアップしていった。だんだんお互いを悪く言うようになり、あんなに普段大人しくて控えめな玲衣奈でさえかなり怒っている。玲衣奈は全くそのつもりはなかったの一点張りで私に勘違いされて嫉妬されたことに呆れつつ怒っており、私はその時ただ嫉妬深く、玲衣奈が怒ったことで引くに引けなくなり、喧嘩がヒートアップしたまま学校に着く。
「もうキリがないからこの話終わりにしない?めんどくさいよ、柚桜・・とにかく!私は川口先輩に気があるとかないからさ!」と早くこの話を終わらせたい玲衣奈。
「・・・もういいよ!ずっとしらを切るつもりなら!!じゃあね!」
あの頃の私は精神的に幼く、感情的で、嫉妬深くて、大好きな親友でさえも恋愛が絡んでくると信じられなくなってしまう、ばかなやつだった。玲衣奈を置いて1人で教室に行く。
教室に行くと紗良や華菜が出迎えてくれた。
「ゆーらー!おっはよー!・・あれ?玲衣奈は?」
「一緒じゃないの?」
「・・・知らない。」適当に返事をして、不思議そうな顔で見つめる紗良や華菜を尻目に席に着く。私はまだ頭に血が昇っているようだ。少し遅れて玲衣奈が教室に入ってきた。
「あ!玲衣奈おはよう!」と紗良や華菜が玲衣奈のもとに駆け寄る。
「・・・おはようー」と元気のない玲衣奈の声が聞こえてくる。やっっぱり言いすぎたかもしれない。どうしよう。
「木村!おっす!」隣の席の新谷が話しかけてくる。今はそっとしといてほしいのに・・・。
「おはよ。」無視するのは変だと思い短く返事はする。
「・・・おう。」新谷が顔を覗き込んでくる。しかし何も聞いてはこず近くの席の男子と話し始める。
その日は部活に行かず、図書室に向かい、私が応援している永山さくらが所属するアイドルグループ、“エストレージャ”のベストアルバムを手に取る。エストレージャはさくらや冬香を初めとした17人が初期メンとしてずっとグループを支えてきて、今や国民的アイドルグループになりつつある。他の初期メンはアイドルを卒業してしまい、初期メンはさくらや冬香だけになってしまったが、2人がライバルとして切磋琢磨していることで、後から入った後輩のメンバーたちの良い刺激になっている。さくらはアイドルなのに控えめな性格で目立ちたがりじゃないのに、グループのセンターを冬香と競わされているからネットでよく叩かれているが、笑顔が眩しくて私は初めて見た日から虜になった。
「あ、木村!こんなところにいたのかよ、何してんだよ?部活じゃねえの?」エストレージャのベストアルバムを視聴していると、新谷が図書室に入ってきた。
「あ!エストレージャ!!ベストアルバムじゃん!置いてあったんだ!」
「・・・声大きいよ、図書室なんだし。」
「あ、やべっ。それ見して」声量を落として新谷が隣に座ってくる。
「エストレージャこん時から好きだったんだよな。冬香が急にダンス覚醒してさ。あ、夏曲も入ってるんじゃん、最高」
「ね、エストレージャは夏曲が1番好き」
「夏曲いいよなー!握手会は行ったりしてんの?」
「1ヶ月に1回ぐらいかな。」
「1人で?」
「うん。」
「1人で行くの寂しくね?1人でも楽しいけどよ!いつも一緒にいるやつらとは行かねえの?」
「えっ?」そう言えば、1回だけ玲衣奈をエストレージャの握手会に誘って一緒に行ったことはある。その時玲衣奈は周りの熱気に圧倒されていたが、好みの顔のメンバーがいて、その子に髪型を褒めてもらって「神対応してもらった!」と嬉しそうにしていた。私までそれがすごく嬉しかったのを思い出した。
「やっぱりなんかあったよな?朝からなんかイライラしてるし。」
ばれていた。そりゃあそうだ。私はよく感情が顔に出やすいし、朝は玲衣奈と喧嘩した直後でイライラしていたのと、玲衣奈に言いすぎてしまった自分にもイライラしていた。
「ちょっと喧嘩しちゃってさ・・玲衣奈と。」
「仲直りすりゃあいいじゃん。」
「そう簡単に言わないでよ・・玲衣奈とは何回も喧嘩したことあるけど、いつも玲衣奈から謝ってくれていて、私いつも自分から謝ることができないの。」
「でも絶好したわけじゃないんだろ?」
「絶好なんてしてない!玲衣奈は親友だし、でも私が・・ほら、前に話した川口先輩っていう好きな人と玲衣奈が仲良さそうだったから、もしかしてって思っちゃって嫉妬して・・」玲衣奈と絶好なんて考えられないしありえない。でも、何回も喧嘩してきてその度に優しい玲衣奈はいつも先に謝ってくれていた。でも私が自分から謝ることは今までで一度もなかった。
「じゃあ仲直りしたい気持ちはあるんだ?」
「うん、まあ・・・」
「じゃあ『ごめん言いすぎた!』って言ってくればいいんじゃんね?あいつ優しいし、大して怒ってないと思うぜ!」さっきはあんなにエストレージャのベストアルバムに食いついていたのに、真剣な表情でこっちを見て新谷が話を聞いてくれている。その真剣な表情に少しドキッとする。
「うん・・明日謝ってみる。」
「さっきあいつ1組で小テスト点低かったとかで居残り受けてたぜ。終わるまで待って謝っちゃえよ。明日とか言ってるとやっぱ気まずいとか言って謝りにくくなるんじゃね。」
「そうなんだ。じゃあ待って謝ってみる!ありがとう新谷!」
「おう!じゃ、俺は帰るわ。」
あれ。図書室に用があったんじゃなかったのか。私が朝から様子がいつもと違ったから、まさか気になって探してくれたとか?考えすぎか。でも、新谷に話してスッキリしたし、ちゃんと玲衣奈に謝る決心がついた。新谷がせっかく背中を押してくれたんだから、しっかりと謝りに行こう。
1組の教室の近くで30分ほど待つと先生が出てきた。そして先生に続きぞろぞろと居残り組の生徒たちが出てくる。1組を覗くと玲衣奈が帰り支度をしていた。
「玲衣奈!」教室から出てきた玲衣奈に声をかける。
「わっ!びっくりした・・・」
「あのさ、朝のことなんだけど、ごめん。さすがに嫉妬深すぎた。あと言いすぎてごめん。」
玲衣奈は笑って許してくれた。「柚桜から謝るなんて珍しー」と冗談を言われたが、何よりびっくりしたのは、最近玲衣奈が川口先輩と仲良さそうに見えた理由だった。
初めは、部活の台本選考会でのことで私が落ち込んでいないかと川口先輩が心配しており、玲衣奈が「じゃあ元気づけるために柚桜の好きそうなところに演劇部の決起集会のような感じで演劇部の部員全員でどこか遊びに行くのどうですか?」と提案してみてくれたようだ。すると、川口先輩から私の好きなものを聞かれ、色々と教えてくれたそうだった。だから、もしかしたら一緒にお出かけできるかもよと玲衣奈に冷やかされた。玲衣奈は私と川口先輩の進展のために、2人きりより、演劇部での集まりなら川口先輩も来てくれるのではないかと思い、後押ししてくれていたのに、私は全くもって勘違い野郎だった。
「ねえ玲衣奈ー、最近川口先輩とよく話すようになったよね!なんかあったの?」ある朝、学校に向かう途中で歩きながら思い切って聞いてみる。
「えっ?あーそうかなあ。あんまり自覚はないけど。特になんかあったわけではないよ?」玲衣奈が答える。
嘘だ。今まで応援はしてくれていたものの、基本的に男子と話すのが苦手な玲衣奈は川口先輩だけでなく他の男の先輩とも必要最低限しか話していなかった。練習のことなどで分からないことがある時も玲衣奈が必ず聞いてくるのは私だった。でも玲衣奈は私に嘘をついたことは一度もないし、人に嘘をつくようなタイプではない。でも今の玲衣奈はあいまいに話を逸らそうとしていた。
「そういえば、柚桜、川口先輩と絡みある役だったよね?良かったじゃん!たくさん話して距離縮めるチャンスだね!」
やっぱり玲衣奈は私のことを応援してくれている。頭ではそう思うのに一瞬頭をよぎった不安が口から出てしまう。
「玲衣奈、川口先輩のこと気になってたりしないよね・・?」すると瞬時に玲衣奈の顔が曇る。
「え・・・なんでそうなるの?最近話すようになっただけだよ?なんでそれだけで私が川口先輩に気があるみたいになるの?」
一言「違う」と言ってくれれば信じたのに、急に質問攻めになった玲衣奈に疑惑の気持ちが強まる。いや、きっとここで「違う」と断言されてもあの頃の私は、心が幼く、嫉妬深く、変に疑り深いところがあった。
だから、本気で川口先輩を好きでいればいるほど、急に川口先輩と仲良くなった玲衣奈に疑う気持ちが止まらず、言葉によって自分から玲衣奈との友情を止めてしまった。
「質問攻めになってるじゃん。最近の玲衣奈怪しいよ。」
「なにそれ。怪しいって川口先輩と話したことが悪いみたいじゃん。柚桜の好きな人とは話しちゃダメルールとかあったっけ?」
「そんなルールはないけど、急に仲良くなったし・・」
「とにかく私は恋愛に興味ないし、面倒なこと言わないでよ!」
会話の流れがどんどん険悪なムードになっていき、話せば話すほどお互いにヒートアップしていった。だんだんお互いを悪く言うようになり、あんなに普段大人しくて控えめな玲衣奈でさえかなり怒っている。玲衣奈は全くそのつもりはなかったの一点張りで私に勘違いされて嫉妬されたことに呆れつつ怒っており、私はその時ただ嫉妬深く、玲衣奈が怒ったことで引くに引けなくなり、喧嘩がヒートアップしたまま学校に着く。
「もうキリがないからこの話終わりにしない?めんどくさいよ、柚桜・・とにかく!私は川口先輩に気があるとかないからさ!」と早くこの話を終わらせたい玲衣奈。
「・・・もういいよ!ずっとしらを切るつもりなら!!じゃあね!」
あの頃の私は精神的に幼く、感情的で、嫉妬深くて、大好きな親友でさえも恋愛が絡んでくると信じられなくなってしまう、ばかなやつだった。玲衣奈を置いて1人で教室に行く。
教室に行くと紗良や華菜が出迎えてくれた。
「ゆーらー!おっはよー!・・あれ?玲衣奈は?」
「一緒じゃないの?」
「・・・知らない。」適当に返事をして、不思議そうな顔で見つめる紗良や華菜を尻目に席に着く。私はまだ頭に血が昇っているようだ。少し遅れて玲衣奈が教室に入ってきた。
「あ!玲衣奈おはよう!」と紗良や華菜が玲衣奈のもとに駆け寄る。
「・・・おはようー」と元気のない玲衣奈の声が聞こえてくる。やっっぱり言いすぎたかもしれない。どうしよう。
「木村!おっす!」隣の席の新谷が話しかけてくる。今はそっとしといてほしいのに・・・。
「おはよ。」無視するのは変だと思い短く返事はする。
「・・・おう。」新谷が顔を覗き込んでくる。しかし何も聞いてはこず近くの席の男子と話し始める。
その日は部活に行かず、図書室に向かい、私が応援している永山さくらが所属するアイドルグループ、“エストレージャ”のベストアルバムを手に取る。エストレージャはさくらや冬香を初めとした17人が初期メンとしてずっとグループを支えてきて、今や国民的アイドルグループになりつつある。他の初期メンはアイドルを卒業してしまい、初期メンはさくらや冬香だけになってしまったが、2人がライバルとして切磋琢磨していることで、後から入った後輩のメンバーたちの良い刺激になっている。さくらはアイドルなのに控えめな性格で目立ちたがりじゃないのに、グループのセンターを冬香と競わされているからネットでよく叩かれているが、笑顔が眩しくて私は初めて見た日から虜になった。
「あ、木村!こんなところにいたのかよ、何してんだよ?部活じゃねえの?」エストレージャのベストアルバムを視聴していると、新谷が図書室に入ってきた。
「あ!エストレージャ!!ベストアルバムじゃん!置いてあったんだ!」
「・・・声大きいよ、図書室なんだし。」
「あ、やべっ。それ見して」声量を落として新谷が隣に座ってくる。
「エストレージャこん時から好きだったんだよな。冬香が急にダンス覚醒してさ。あ、夏曲も入ってるんじゃん、最高」
「ね、エストレージャは夏曲が1番好き」
「夏曲いいよなー!握手会は行ったりしてんの?」
「1ヶ月に1回ぐらいかな。」
「1人で?」
「うん。」
「1人で行くの寂しくね?1人でも楽しいけどよ!いつも一緒にいるやつらとは行かねえの?」
「えっ?」そう言えば、1回だけ玲衣奈をエストレージャの握手会に誘って一緒に行ったことはある。その時玲衣奈は周りの熱気に圧倒されていたが、好みの顔のメンバーがいて、その子に髪型を褒めてもらって「神対応してもらった!」と嬉しそうにしていた。私までそれがすごく嬉しかったのを思い出した。
「やっぱりなんかあったよな?朝からなんかイライラしてるし。」
ばれていた。そりゃあそうだ。私はよく感情が顔に出やすいし、朝は玲衣奈と喧嘩した直後でイライラしていたのと、玲衣奈に言いすぎてしまった自分にもイライラしていた。
「ちょっと喧嘩しちゃってさ・・玲衣奈と。」
「仲直りすりゃあいいじゃん。」
「そう簡単に言わないでよ・・玲衣奈とは何回も喧嘩したことあるけど、いつも玲衣奈から謝ってくれていて、私いつも自分から謝ることができないの。」
「でも絶好したわけじゃないんだろ?」
「絶好なんてしてない!玲衣奈は親友だし、でも私が・・ほら、前に話した川口先輩っていう好きな人と玲衣奈が仲良さそうだったから、もしかしてって思っちゃって嫉妬して・・」玲衣奈と絶好なんて考えられないしありえない。でも、何回も喧嘩してきてその度に優しい玲衣奈はいつも先に謝ってくれていた。でも私が自分から謝ることは今までで一度もなかった。
「じゃあ仲直りしたい気持ちはあるんだ?」
「うん、まあ・・・」
「じゃあ『ごめん言いすぎた!』って言ってくればいいんじゃんね?あいつ優しいし、大して怒ってないと思うぜ!」さっきはあんなにエストレージャのベストアルバムに食いついていたのに、真剣な表情でこっちを見て新谷が話を聞いてくれている。その真剣な表情に少しドキッとする。
「うん・・明日謝ってみる。」
「さっきあいつ1組で小テスト点低かったとかで居残り受けてたぜ。終わるまで待って謝っちゃえよ。明日とか言ってるとやっぱ気まずいとか言って謝りにくくなるんじゃね。」
「そうなんだ。じゃあ待って謝ってみる!ありがとう新谷!」
「おう!じゃ、俺は帰るわ。」
あれ。図書室に用があったんじゃなかったのか。私が朝から様子がいつもと違ったから、まさか気になって探してくれたとか?考えすぎか。でも、新谷に話してスッキリしたし、ちゃんと玲衣奈に謝る決心がついた。新谷がせっかく背中を押してくれたんだから、しっかりと謝りに行こう。
1組の教室の近くで30分ほど待つと先生が出てきた。そして先生に続きぞろぞろと居残り組の生徒たちが出てくる。1組を覗くと玲衣奈が帰り支度をしていた。
「玲衣奈!」教室から出てきた玲衣奈に声をかける。
「わっ!びっくりした・・・」
「あのさ、朝のことなんだけど、ごめん。さすがに嫉妬深すぎた。あと言いすぎてごめん。」
玲衣奈は笑って許してくれた。「柚桜から謝るなんて珍しー」と冗談を言われたが、何よりびっくりしたのは、最近玲衣奈が川口先輩と仲良さそうに見えた理由だった。
初めは、部活の台本選考会でのことで私が落ち込んでいないかと川口先輩が心配しており、玲衣奈が「じゃあ元気づけるために柚桜の好きそうなところに演劇部の決起集会のような感じで演劇部の部員全員でどこか遊びに行くのどうですか?」と提案してみてくれたようだ。すると、川口先輩から私の好きなものを聞かれ、色々と教えてくれたそうだった。だから、もしかしたら一緒にお出かけできるかもよと玲衣奈に冷やかされた。玲衣奈は私と川口先輩の進展のために、2人きりより、演劇部での集まりなら川口先輩も来てくれるのではないかと思い、後押ししてくれていたのに、私は全くもって勘違い野郎だった。



