__________十年後。
「懐かしいなあ。新谷。」
村田先輩が大好きで告白して振られたばかりなのに新谷のことを懐かしく思ってしまう。
『会いたい??』
とニヤニヤした顔で聞いてくる華菜と紗良。
「少し。今の新谷を見てみたい気持ちもあるかな。相変わらずなのかな。」
「んふふ・・」
と意味あり気に笑う華菜と紗良。
「何よ。その気持ち悪い笑い方・・・」
「ひっどーい!人がせっかくいい情報持ってるっていうのに!!」
「いい情報??」
『同窓会!!』
「へっ?!同窓会??」
「そう!会えるんだよ!あの新谷に!!」
華菜や紗良の話だと二ヶ月後に高校の同窓会が開催されるとのこと。紗良は幹事の子と最近連絡を取る中でおり、誰が来るか聞いたところ現時点で決まっている出席と返事した同級生の中に新谷の名前があったそうだ。私には紗良が直接聞くことになっていたらしい。
「でも先生は来られないんだってー!家庭の都合で。」
「ええー!先生会いたかったなあ。」
「じゃあ同窓会では先生に会えないから、高校に久しぶりに行ってみる??」
と華菜と突拍子のない提案で二週間後の週末に母校に十年越しに行くことになった。
__________二週間後。
当日、玲衣奈・華菜・紗良・私の四人で母校に行った。守衛さんに先生に会いにきたことを話すと先生に内線で連絡してくれて、守衛さんにも先生達にも歓迎された。
先生としばらく立ち話をした後、私はトイレに行きたくなった。トイレに行った後、工事中の広くなった学校内は迷路のようで迷ってしまった。
歩き回っていると、工事中であの頃とは随分変わったとはいえ、あの頃の情景が浮かび上がってくる。初めて新谷と同じクラスになった高校一年三組の教室、新谷と同じ新聞係の活動を行った図書室、玲衣奈に嫉妬した部室前の廊下、演劇部の部室、劇の練習をしたステージ、新谷と話した屋上の前のドア。
屋上まで辿り着きあの頃を懐かしんでいると、屋上のドアの前に置いてある道具入れのロッカーのしたに紺色に光るものが目に入った。手に取ると紺色の中に黄色く光ってみえたボタンだった___。
新谷の話を思い出す。
『近藤達でさ、卒業式の思い出にタイムカプセル的な感じで、自分の持ち物を学校内に隠してみようぜってなったんだよ。落書きで済ましたやつもいたけど。』
『隠すなら小さいものがいいかなって思ってそれで第二ボタンにしようって思いついてさ。』
新谷の第二ボタンだ___。私たちが卒業した後、制服が変わりボタンのデザインも変わった。これは、あの頃欲しいと言えずもらえなかった、新谷の第二ボタン。ああそうだった。この感覚。
私は新谷が好きだった。
本気で恋をしていた。
あの頃の私には新谷のことしか考えられなかった。
第二ボタンを手にした瞬間から想いが溢れてくる。
なんで今になって思い出すんだろう。こんなに強く想っていたのになんで想いを口にしなかったんだろう。
澪が告白した後だろうが二人が付き合っていようが最後なら想いを伝えればよかったんだ。
新谷の眩しい太陽みたいな笑顔が頭の中に浮かんで消えない。後悔しないって決めたのに、結局後悔している。
あの頃のように屋上のドアの前で座って第二ボタンを見つめる___。
その時ハッとした。なんで新谷はここに第二ボタンを隠したんだろう。私と新谷が部活を抜け出して話した思い出の場所。
新谷ももしかして私のこと___。
いや分からない、たまたまかもしれない。ただその時分かっていることは、私は私の太陽を手放してしまったんだ___。
新谷の第二ボタンを握りしめて、みんなのもとに戻る。みんなのもとには一人、見たことがあるような後ろ姿の青年がいた。
「おまたせー!」少し離れたところから声をかけると、みんなが一斉に振り返る。
すると、みんなと一緒に話している茶髪の青年も振り返る。それはあの頃と同じ眩しい太陽のような笑顔だった___。
「おっす!久しぶりだな、木村!」
「懐かしいなあ。新谷。」
村田先輩が大好きで告白して振られたばかりなのに新谷のことを懐かしく思ってしまう。
『会いたい??』
とニヤニヤした顔で聞いてくる華菜と紗良。
「少し。今の新谷を見てみたい気持ちもあるかな。相変わらずなのかな。」
「んふふ・・」
と意味あり気に笑う華菜と紗良。
「何よ。その気持ち悪い笑い方・・・」
「ひっどーい!人がせっかくいい情報持ってるっていうのに!!」
「いい情報??」
『同窓会!!』
「へっ?!同窓会??」
「そう!会えるんだよ!あの新谷に!!」
華菜や紗良の話だと二ヶ月後に高校の同窓会が開催されるとのこと。紗良は幹事の子と最近連絡を取る中でおり、誰が来るか聞いたところ現時点で決まっている出席と返事した同級生の中に新谷の名前があったそうだ。私には紗良が直接聞くことになっていたらしい。
「でも先生は来られないんだってー!家庭の都合で。」
「ええー!先生会いたかったなあ。」
「じゃあ同窓会では先生に会えないから、高校に久しぶりに行ってみる??」
と華菜と突拍子のない提案で二週間後の週末に母校に十年越しに行くことになった。
__________二週間後。
当日、玲衣奈・華菜・紗良・私の四人で母校に行った。守衛さんに先生に会いにきたことを話すと先生に内線で連絡してくれて、守衛さんにも先生達にも歓迎された。
先生としばらく立ち話をした後、私はトイレに行きたくなった。トイレに行った後、工事中の広くなった学校内は迷路のようで迷ってしまった。
歩き回っていると、工事中であの頃とは随分変わったとはいえ、あの頃の情景が浮かび上がってくる。初めて新谷と同じクラスになった高校一年三組の教室、新谷と同じ新聞係の活動を行った図書室、玲衣奈に嫉妬した部室前の廊下、演劇部の部室、劇の練習をしたステージ、新谷と話した屋上の前のドア。
屋上まで辿り着きあの頃を懐かしんでいると、屋上のドアの前に置いてある道具入れのロッカーのしたに紺色に光るものが目に入った。手に取ると紺色の中に黄色く光ってみえたボタンだった___。
新谷の話を思い出す。
『近藤達でさ、卒業式の思い出にタイムカプセル的な感じで、自分の持ち物を学校内に隠してみようぜってなったんだよ。落書きで済ましたやつもいたけど。』
『隠すなら小さいものがいいかなって思ってそれで第二ボタンにしようって思いついてさ。』
新谷の第二ボタンだ___。私たちが卒業した後、制服が変わりボタンのデザインも変わった。これは、あの頃欲しいと言えずもらえなかった、新谷の第二ボタン。ああそうだった。この感覚。
私は新谷が好きだった。
本気で恋をしていた。
あの頃の私には新谷のことしか考えられなかった。
第二ボタンを手にした瞬間から想いが溢れてくる。
なんで今になって思い出すんだろう。こんなに強く想っていたのになんで想いを口にしなかったんだろう。
澪が告白した後だろうが二人が付き合っていようが最後なら想いを伝えればよかったんだ。
新谷の眩しい太陽みたいな笑顔が頭の中に浮かんで消えない。後悔しないって決めたのに、結局後悔している。
あの頃のように屋上のドアの前で座って第二ボタンを見つめる___。
その時ハッとした。なんで新谷はここに第二ボタンを隠したんだろう。私と新谷が部活を抜け出して話した思い出の場所。
新谷ももしかして私のこと___。
いや分からない、たまたまかもしれない。ただその時分かっていることは、私は私の太陽を手放してしまったんだ___。
新谷の第二ボタンを握りしめて、みんなのもとに戻る。みんなのもとには一人、見たことがあるような後ろ姿の青年がいた。
「おまたせー!」少し離れたところから声をかけると、みんなが一斉に振り返る。
すると、みんなと一緒に話している茶髪の青年も振り返る。それはあの頃と同じ眩しい太陽のような笑顔だった___。
「おっす!久しぶりだな、木村!」



