俺の携帯の着信音が鳴って、咄嗟にお互い身体を離した。
 背を向けて、涙を拭きながら電話に出た。

 一通り終わって、今から墓参りだから来いと母親から言われた。

「後は大丈夫。行って…」

 行きたくなかった。側にいたかった。
「俺…」
「行ってあげて…」
 にっこり笑う板垣芽吹に、俺は頷くしかなかった。

「じゃ…」
「ありがとう。またね」

 本日二度目の墓掃除をしながら、俺はずっと板垣芽吹の事を考えていた。